法改正・金利上昇・相互関税の3大ショック
激動を予感させる2025年度が始まった。住宅業界にとっては特に大きな変化の年の始まりである。第一の変化は言うまでもなく、省エネ義務化に関連した各種法改正。いよいよ4号特例の縮小、省エネ基準適合義務化がスタートしたが、一体どのくらいの影響が出て来るか、今のところはまだ明らかではない。2月の持家着工は大きなサプライズはない想定内、前年からほぼ横這いであった。最近3月着工に押し込んだという声も聞くようになり、全国でその動きがあるとすれば、3月は相当数の駆け込み着工の可能性がある。持家着工は3月に19,442戸あれば2024年度は前年と同数で、前年を上回るかどうか瀬戸際といったラインであるが、3月駆け込みで急増の可能性はありそうだ。4月からは普通に考えて申請から着工までに時間が掛かるし、企業も当面は様子見姿勢で動くとすれば、4月着工は激減することになるだろう。4号特例の縮小が、そのまま住宅着工の縮小に連鎖していくことも、想定しておく必要があるかもしれない。
第二に、住宅ローン金利の上昇。大手行の変動金利が上昇し、固定も合わせて全体的に住宅ローン金利は上昇に向かっている。大手5行は1月の日銀追加利上げに伴い3月に短期プライムレート(短プラ)を0.25%引き上げている。これを反映し、変動金利ローンの既存契約者の基準金利を0.25%上げるところが多い。長期金利の変化も激しく、4月は10年固定型の住宅ローン金利も引き上げている。
第三は米国相互関税のトランプショック。この影響は計り知れないが、瞬時に起こったのが世界株価の暴落である。それ以前から関税の織り込みもあって株価は調整が入り、2024年度の日経平均株価の終値は35,617円で、3年振りに前年度の終値を下回った。ところが4月2日の相互関税発表後はまさにトランプショックの様相で、4月7日の日経平均は過去3番目の下げ幅を記録。4月10日は急反発と、世界中に株価乱高下の混乱を呼んでいる。
■2025年度の住宅業界関連のショック
予期せぬ変化への心構えを
そんな激動の外部環境の中、新年度が始まった。今年の4月は大手ハウスメーカーの社長交代などで新体制がスタートしたところも多い。激しい市場変化の中で、体制刷新は何等かのプラス効果を生むかもしれない。大和ハウス、旭化成ホームズ、三井ホーム、トヨタホームで4月から新社長の体制が始動。AQグループは一足早く3月から創業者の宮沢社長が会長となり、新体制で動いている。住友不動産では、新築住宅事業と新築そっくりさんが一体となって、住友不動産ハウジングが誕生した。
4号特例縮小等の新しい制度が始まるが、制度変更は分かっていたことであり、準備期間は十分にあったはずだ。2025年ショックとも言われた制度変更により業務に様々な混乱は生じるとしても、軌道に乗れば大きな問題ではないだろう。予期せぬ事象による市場変化は常に起こるという心構えで、激動の2025年度をしっかりと乗り切りたい。