2024年住宅着工は79.2万戸
住宅着工の70万戸時代が始まった。2024年の1~12月年計住宅着工は792,098戸。想定通りリーマン危機後の2009年度の77.5万戸(年計は78.8万戸)に次ぐ水準まで落ち込んだ。それでもまだ2万戸近くの開きがあり、リーマンショックの大きさは相当なものだったのだと痛感する。リーマン後と比べての24年の住宅市場構造の大きな違いは、持家着工の減少である。
持家着工は23年度に22万戸を割り、月次では24年9月まで34ヶ月連続して前年割れで推移した。10月以降は底を打って多少戻したものの、12月は17,821戸と24年の中でも5番目に少ない戸数である。24年は1月から大幅減が続き、一度も月次2万戸を上回ることはなく、半分の6ヶ月は18,000戸を割った。結果、24年1~12月の年計持家着工は前年比2.8%減の218,132戸までに落ち込んでおり、これは1959年以来の少なさである。25年1~3月の着工は前年を上回りそうで、24年度計はこの数字よりも大きいと予測される。持家着工は一先ず24年計のこの数字で底を打ったかに見えるが、25年度の持家激震はどのレベルとなるか、少し様子を見ないと今後の動向は分からない。
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深刻さ増す持家需要減
リーマン危機後の09年度の持家着工は28.7万戸あり、持家以外の住宅、貸家と分譲マンションが大きく落ち込んだ。令和の70万戸時代は持家住宅需要の減少によってもたらされたことに他ならない。建売もマンションも含めて、いわゆる住宅購入者が減ったということである。若年人口がこれだけ減っているのであるから、分かってはいたことである。ただ昨今、この着工減を加速させている外的要因が大きいことも確かである。コロナ禍での需要の先食い、住宅価格・地価の高騰、インフレによる家計負担増、そして金利上昇である。家が欲しいと思ってもそれを買うためにはお金を借りて、それを返済していく力がなければならない。それができる世帯が減っているということが住宅着工減少の要因として大きいと思われる。
住宅着工70万戸時代が始まり、本格的な金利上昇局面を迎えれば、この減少スピードは加速していく可能性がある。物価高と金利上昇という、言わば正常な社会の中で、家を価値ある資産として提供する住宅産業の新たなステージに入っていく。