持家激減2024年の10大ニュース

持家着工と経済環境

能登半島地震から始まった激動の年、2024年を振り返る。
①持家着工は激減し、24年1月は14,805戸という記録的な少なさで、その後5月までの5ヶ月間は18,000戸を割り続けた。月次持家着工は34ヶ月連続で前年を下回り、足元でも2万戸割れが続く。持家着工は年間20万戸時代、本格縮小期に突入した。②インフレと賃上げが進んだ。賃上げ率は5%超えと33年ぶりの高水準で上がった一方で、物価上昇が続いて実質賃金はプラス圏を維持できるまでにはなっていない。住宅購入意欲が減退していることが、市場停滞を招いた。③日銀の金融政策が徐々に緩和解除に向かった。3月にマイナス金利解除、7月には政策金利を上げ、15年ぶりに短期プライムレートが動いた。住宅ローンの変動金利が上昇へ向かい始めた。

住宅会社の動向

④収益の明暗がはっきりした年でもある。分譲系ビルダーの利益苦戦の一方、注文系ビルダーは利益回復に向かった。建売着工が大きく減少しているように、市中在庫が過多となった状態から調整を進めた1年だったとも言える。
⑤2024年問題への対策としてハウスメーカーの共同輸送が始動。施工人員不足で大型建築の工期が逼迫する等の事例も出ているが、物流面でも対策が急がれる。積水ハウス等大手メーカー3社とセンコーが共同輸送の取り組みを発表した。

堅調なリフォーム市場

⑥日経平均株価が史上最高値を更新。1989年末に付けた高値を、2月に難なく超え、一時は4万円超えで推移した。マンション価格も暴騰でバブルの様相も見える。一方で令和のブラックマンデー以降、激しい乱高下に株式市場の不透明感が増した。その株高資産効果も一定の後押しとなり、⑦リフォーム・ストック市場には追い風が吹いた。2年目の反動減も見られたものの、窓リノベを含む3省連携の補助金効果もあり、リフォーム需要は力強く推移する。

変化する勢力図、多様化する業態

1,000棟クラスの注文大手、⑧マグニフィセントセブン・ビルダーの躍進もあった。市場牽引役の7社のうち、ロゴスHDは上場、クラシスホーム、ヤマト住建は堅調に伸ばし、ライフデザイン・カバヤは売上400億円を超えた。⑨AQ Groupの純木造8階建新社屋が完成。本社を移転し、全国のビルダーと共に中大規模木造建築の普及を目指す。
最後は24年住宅業界最大のM&A、⑩積水ハウスの米国企業巨額買収と、ハウスメーカー各社の米国事業強化だ。そして2025年、政治も経済も、住宅業界も大きく変化しそうな、不確実性の高い激動の年になる。

 
■2024年の住宅業界に関連する10大ニュース
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