住宅業界、二度目のトランプ占い

混迷の世界情勢のもと始まるトランプ2.0

これからの世界情勢が方向づけられたと言っても良いだろうか。二度目のトランプ大統領が誕生する。グローバル社会においては、米国の政治や経済が、日本や世界中に影響していくわけであるが、これから4年間は米国トランプ政権下で世の中が動いていく。様々なことが一変するとも予測されている。ウクライナ、中東等の紛争地域への影響、米中関係、気候変動政策、そして世界経済の行方などである。輸入関税引き上げを明言しているように、米国に輸出して事業展開するウエイトが高い日本の産業界にも影響が及んでくることは必至である。

まずトランプ大統領の返り咲きが確定したことによって、分かりやすく動いたのが株価や為替である。株式市場は好感、為替は円安ドル高に動いた。大統領選当日の結果が少し見え始めた時には、日米共に大きく株価が上がり、為替は円安ドル高に振れた。米国ではテスラ株が急騰したほか、金融関連株も堅調だった。日経平均も1,000円を超える上昇となったが、その翌日にはすぐに調整に向かった。自動車関連等、米国事業のウエイトが高い日本企業には警戒感が出ており今後も変動は激しくなろう。
 
■米国トランプ大統領誕生が日本に与える影響
米国トランプ大統領誕生が日本に与える影響

ハウスメーカーの米国事業は?

米国に積極進出している日本のハウスメーカーは、傘下に入っている米国の現地法人の住宅事業が大きなウエイトを占めるため、関税の影響は小さく、一方法人減税の恩恵を受けそうだ。ただ米国の住宅市場の直接的な影響が出て来る。米国では22年以降、住宅価格が高止まりで、政策金利の引き上げによって住宅ローン金利は6%台と高い。家が買いづらい状況が現政権への不満につながっており、新政権下でも住宅取得を支援する政策は行うはずで、中期的に見れば米国住宅市況はプラスに働くと見られる。ただ一方、米国政策金利は、2会合連続で合わせて0.75%下げと利下げに向かっている中、巨大な関税でインフレ再燃も懸念される。住宅価格や金利上昇に加え、内向きな米国で移民反対とするトランプ大統領の下、建設現場等の人手不足ともなれば、米国住宅市場が停滞する可能性もある。

今後不透明性は高いが、トランプ氏のドル安志向に反して為替は円安ドル高で動くとすると、日本国内の企業にとって懸念されるのは輸入物価の上昇である。それが日本のインフレを再加速させ、日銀の利上げを後押しする。日本の住宅市場にとっても難しいインフレ・金利高に向かいやすくする可能性もある。ただ外部環境の激しい変化にはコロナ禍以降、しっかり適応して鍛えられても来た。政治や経済がどう動こうとも、最善策を導き乗り越える術は身についているはずである。
 
■米国は住宅価格、金利とも高止まり!
米国は住宅価格、金利とも高止まり!
 

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