優良ストックが流通する時代


 

戸建でも起こる? 新築と中古の逆転現象

風向きはストック市場に追い風である。新築市場は依然として厳しく、持家と建売住宅の月次着工は前年割れが続いている。新築価格が上がり、選択肢が新築から中古住宅に移っていくというニーズの変化が、一部では起こっていると見られる。その証拠に全国の中古戸建と中古マンションの直近1年の成約動向は、新築着工とは真逆にプラス基調で推移している。特に中古戸建の成約のプラス幅は大きく、今年に入ってからは二桁増という月も多い。既に首都圏のマンション市場では新築と中古の逆転現象が8年続いており、この流れが戸建にもじわじわ押し寄せているようにも見える。
住宅リフォーム受注額・前年比【半期推移】
 

スムストック2,000棟突破

大手ハウスメーカー10社で注力しているスムストックの動きも良くなっている。コロナ禍以降、足踏み状態が続いていたが、2023年度のスムストック成約実績は2,090棟と、初めて2,000棟を突破した。前年比で11%伸ばしており、堅調さのカギの一つが中古買取再販の強化である。スムストックの中の買取再販比率は16%→18%へ上昇しており、前年比21%増の374棟に達した。

ストックの流通が活性化していくこと自体、今の時代には望ましい動きとも言えるが、「優良ストック」であることが重要だ。大手10社の既存戸建住宅は、総ストック401万棟のうち、年間11,100棟が流通していると推計されている。そのうちスムストックで流通したのは2,090棟で、いわゆるスムストック捕捉率は約19%と上昇を示している。目標とする20%達成にはまだ届いていないものの、WEB動画広告等の販促、ホームページのスマホ対応により、認知度は向上。その他ムック本も制作し、販売士の施主宅訪問時等にも活用する等、多種多様な広報活動が成約件数の伸びに寄与したと言える。
住宅リフォーム受注額・前年比【四半期推移】

 

良質な住宅と適切な維持管理が好循環のカギ

インフレ下で原価も労務費も上がっていく見通しである今、ストックを活かしていく重要性が増している。良質な住宅を建て、長期的な維持管理で次の世代へ住み継いでいく。新築とストックの好循環を生むビジネスモデルの構築が、これからの住宅会社には求められる。リフォームと優良ストックの流通というストックビジネスが、住宅市場と企業の成長に欠かせない存在になっている。
 

 

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