住宅会社の真価は環境貢献にある

三大都市圏も危険、自然災害の脅威

激甚化する豪雨による土砂災害は、地方の山間部だけに留まらない。三大都市圏の政令市と特別区という市街地においても、土砂災害警戒地域が11,000ヶ所に上ることが日経新聞の調査で明らかになった。7月頃から日本に接近する台風は相次ぎ、今年も住家被害、人的被害が後を絶たない。国交省によれば、2023年までの10年間に起こった土砂災害は全国で15,000件にもなるといい、その前の10年間に比べて3割近く増えているという。

昨今の住宅はこのような自然災害対策が欠かせない。耐震や制震は最低限として、ライフラインが止まっても在宅避難できる家、一条工務店の耐水害住宅のような住まいのニーズも高まっているだろう。このような防災対策の一歩手前の、エネルギーを極力使わず、環境負荷を減らすZEH等の省エネ住宅も新築では今や当たり前である。
 
■三大都市圏の主な土砂災害地域の指定箇所
三大都市圏の主な土砂災害地域の指定箇所

旭化成ホームズがRE100達成!

住宅会社は環境のためにできることが多い。新築住宅には太陽光発電や蓄電池を搭載してエネルギーを自給自足できるようにする。そして理想は既存住宅の断熱化を進め、再利用可能であれば壊さず活かしていく。自社オーナーストックの性能向上を図り、買取再販も含め、既存住宅を流通させていくストック循環の仕組みは少しずつ進んでいる。

エネルギーの循環も環境貢献の手法として注目される。今年、旭化成ホームズが、国内ハウスメーカーで初めて「RE100」を達成した。23年度実績ということで、目標よりもかなり早い達成である。世界中の多くの企業が加盟する、この国際的イニシアチブが目指すのは、「事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーで賄う」ということ。日本のハウスメーカーも多く加盟し、再生エネ100%を目指しているが、旭化成は2023年度と一足先の達成となった。加盟した当初は、2038年の達成を目標としていたが、大幅な前倒しで進めることができたわけだ。

早期達成を実現した要因は、「オーナーと共に達成する」という方法にあるという。FITが終了したヘーベルハウス、ヘーベルメゾンの太陽光発電システムで創られたエネルギーを、旭化成ホームズの「ヘーベル電気」を通じて買い取り、これを事業活動に使う。自ら作った住宅で生まれたエネルギーを自社で使うというエネルギー循環は、環境貢献度の高い事業の一つになる。
 
■旭化成ホームズ、初のRE100を達成
旭化成ホームズ、初のRE100を達成
 

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