株高基調一変、令和のブラックマンデー
パリオリンピックの熱戦の裏で、市場では大きな変化が起こり続けていた。8月の経済指標は、誰も想定していなかった振れ幅で動いた。8月5日の株価の大暴落は「令和のブラックマンデー」と呼ばれ、コロナ禍以上の金融ショックを巻き起こしたと言える。日米共に株価が史上最高値更新を続けていたのはほんの1ヶ月前のことだ。今年の日本の株価は上昇スピードが極めて速く、2月にバブル期の最高値を更新して、3月に初めて4万円を突破。一旦調整を経て7月には再び史上最高値を更新し、一時日経平均株価は42,000円をも超えた。
8月に入ると様相は一変。流れが一気に変わる時というのは先行きの不透明さが増すため、ショック状態になる。5日は1日の下げ幅としては過去最大の4,451円安で31,458円まで沈み込んだ。その翌日は急反発で今度は過去最大の上げ幅となる3,217円上昇の34,675円という目まぐるしい相場の動きが続く。このような乱高下が続くと、株高による資産効果は幻想であったかのように剥落し、消費が減退する可能性が高まる。
資産効果薄れ消費意欲も減退か?
円安バブルによる株高基調が崩れたとも言われる。2023年以降、日経平均株価は上昇基調を強めており、株高は住宅購入の後押しにもなっていた。資産効果が高まった個人は多かったはずで、ハウスメーカーの顧客の中でも富裕層の動きが良いという認識はあったであろう。またシニア層が多いリフォーム市場は、株高による需要押し上げ効果があると常々言われている。実際に補助金効果と共に、株高による資産効果が消費意欲を後押ししてリフォーム市場が堅調に推移してきた面もあるはずだ。
短期指標のアップダウンに一喜一憂する必要は全くないが、この不安定で不確実性が増した今の株価の状況は、消費に至る決断に影響を与える。計画が先送りになるのか、計画をやめるのか、リフォームへ向かう資金にもマイナス影響はあるだろう。
住宅市場への後押しとなる要素の一つであった株価資産効果は崩れようとしているのか。乱高下を繰り返すことで不透明さが増し、為替も物価も不安定だ。株価だけが問題ではなく、先が見えないことで明日の暮らしの不確実性が高まっている。しばらくの間、経済や金融の潮目がどう動くのかを注視し続ける必要がありそうだ。(関)
■日経平均株価の激しい変動、資産効果が薄れて消費意欲減退?