リスクを取り如何に早く危機を察知するか


 

酷暑・水害の夏~対策は万全に

能登半島地震から半年が経ってもまだ被災地の復旧は程遠い。
一日も早い復旧を願うばかりだが、自然災害はいつ何時、何処においても起こりうる。7月から秋に掛けては台風や豪雨水害の多い時期で、2018年7月には西日本豪雨、2021年7月には熱海の土石流災害、少し遡れば2014年8月には広島でも土石流が発生した。
住んでいる地域の災害リスクはしっかり把握しておき、地震や水害に備える家づくりには最大限配慮したい。 

まだ大丈夫だという思い込みが避難を遅らせる。大きな流れが悪い方向に向かうのを如何に早く察知して軌道修正できるかは、極めて重要な能力である。
今年も酷暑の夏が続いているが、地球温暖化という危機には気づくのが遅かっただろう。世界中で取り組むべき課題であるが、年々異常気象の激しさが増している。
 

インフレ時代は投資で成長する時代

一方で、リスクを取るということも求められる。経営においてリスクは付き物であり、リスクを取らなければ大きな成長も難しい。
特に今はインフレの時代に突入しており、レバレッジを効かせた経営が求められるようになっている。デフレ時代には現金が大事であったため、内部留保を貯め込んで無理にリスクを取る必要もなかったかもしれない。
ただインフレに突入したこれからは、積極的に投資をしてレバレッジを効かせて成長する時代になったと言える。
財務の指標に、ROIC(投下資本利益率)があるが、これは企業が事業活動のために投じた資本を使って、どれだけ効率的に利益を生み出したかを示す指標だ。
投下資本=株主資本+有利子負債が生む利益の比率である。
企業の本質的な稼ぐ力を表す指標として、昨今注目されており、ROIC経営はインフレ下において重要さを増しているようだ。
 

リスクを取りつつも楽観は禁物

その上で、備えや見極めが重要になってくる。
リスクが高まり危機に陥るかどうか、察知する力は欠かせない。
例えば不動産事業は土地を仕込むために多くの有利子負債を抱えることもある。何処まで攻められるか、もっと行けるのではないか、これからも絶好調が続くのではないかという楽観的な見方は時に大きな失敗にもつながる。
バブルの教訓はまさにそうである。
コロナ禍では不動産価格が上昇し、また今もマンション価格は高止まっているが、少し行き過ぎてはいないかという見方もある。株価の高騰も少し注意が必要かもしれない。
米国の株価指数ナスダックやS&P500は連日最高値更新が続く。
個人投資家がリスクを取って投資を増やしている一つの表れとも言えるが、日本の株価も再び勢いに乗り、TOPIXは史上最高値更新、日経平均も42,000円台まで上昇した。
リスクを取ることも必要であるし、危機への備えや察知する力も必要である。あらゆる場面での判断力がモノを言う時代である。 (関)
 

■インフレ時代にはリスクを取ることが必要だ
インフレ時代にはリスクを取ることが必要だ

 

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