稼ぐ力と株価上場来高値更新


 

最高値に迫る日経平均株価

今年は物事の進むテンポが速い。
元日の震度7の大地震と2日の飛行機事故から始まり、政界も芸能界も大混乱という閉塞感の漂うニュースが多い中、日経平均株価は2月に一時37,000円を超え、過去最高値更新が見えてきた。 

今年は課題山積で、収益確保も難しいと見られる住宅業界にとって、プラスとなりうるのはこの日経平均株価の堅調さである。
主に海外投資家による日本株買いが値を上げ、トヨタ自動車の時価総額は48.79兆円(1/23終値)に拡大し、単一企業としては、バブル期1987年のNTTの時価総額を抜いた。
企業業績が好調で、賃金も上がり、好循環で景気も良くなるとすれば、住宅業界にとってはプラスである。 

また日本企業が見直されている今は飛躍のチャンスと言える。
トヨタの場合、稼ぐ力の改善が評価されているという。
今年度の連結営業利益は上方修正し、前年比80%増の4.9兆円見通しということで、日本企業では初の3兆円超えだという。
株価も高値更新を続け、時価総額で初の50兆円超えで日本全体の株価を牽引する。

日本企業の時価総額比較
日本企業の時価総額比較

住宅会社の株価も上昇

「稼ぐ力」となっているのは、値上げ、生産増、円安で、これらが利益を押し上げている。
住宅業界でも収益を上げるポイントは結局同じで、適正な値上げをして、生産を増やすことが出来なければ稼ぐ力は改善しない。
海外進出のハウスメーカーは足元では円安の追い風が加わり、稼ぐ力は増している。
また巨額買収等、米国への進出強化もあって、日本の住宅会社への注目度も高いと言えよう。住宅会社の株価も年初は堅調な滑り出しで、大和ハウス、積水ハウス、住友林業、タマホームは1月に上場来高値を更新した。

ただ今の変化が激しい世の中で、住宅業界も従来と同じような請負型の事業だけでは、成長維持や稼ぐ力の改善が難しい。縮小していく市場で企業を成長させるには、時代に求められる新しい発想が必要となる。 

米国巨大IT企業の決算では、多くが二桁増収増益を維持する。その中でもいち早くAI関連事業を開拓したマイクロソフトが好調だという。メタも純利益を3倍に増やした。
スマホからAIの時代に移ったと言われるが、日本の住宅会社はこれからの時代に何に先鞭をつけるか。
住宅×AIなのか、別の何かなのか、萎む住宅市場で成長を維持し、株価更新同様に過去最高業績を狙う年としたい。 (関)

直近1 年で住宅大手の株価も大きく上昇
直近1 年で住宅大手の株価も大きく上昇

 

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