■ 2023年のリフォーム・ストック業界10大ニュース
需要拡大で成長したリフォーム市場
2023年のリフォーム市場は、3省連携の大型補助金の恩恵を受けて、窓リノベブームから始まった。
先進的窓リノベは総額1,000億円の補助事業で、1戸当たり上限が200万円という大盤振る舞い。
必然的に需要が急上昇した。
日本のインフレ定着の年にもなった。
新築市場は資材価格高騰の影響を大きく受け、受注、着工で苦戦した。
その点、リフォーム業界は新築に比べて価格転嫁がしやすいこともあって、資材高影響は受けにくく、利益率を上昇させたところも多かったと言えよう。
またニューノーマル需要に加え補助金の後押しもあり、大手ハウスメーカーのリフォーム受注は堅調維持で、3年間ほぼ前年を上回って推移した。
業務提携やM&Aも起こった。大和ハウスは東急Re・デザインから木造リフォーム事業を買収することを発表。
この4月に東急Reの木造戸建リフォーム事業をTDRホームズとして分離後に大和が買収、100%子会社となる予定だ。
加えて今年はナサホームを子会社化し、木造リフォーム強化を進める。資本業務提携では、積水化学とリノベるがタッグを組んだ。
リノベるの中古再販物件において、積水化学の断熱特許工法であるマルリノ工法を採用。ZEHレベルまで性能を高めて販売していく。
ビルダーのリフォーム事業も拡大。
22年度実績において、ポラスグループ、タマホーム、飯田グループのリフォーム売上高は揃って100億円レベルに達した。
家電やホームセンターのリフォーム事業、アートリフォームやホームテック等の専業系リフォーム各社も軒並み増収で、リフォーム市場の拡大が垣間見える業績だったと言える。
中古流通はやや停滞も各社注力続く
一方で規制も強まっており、アスベスト法改正により、有資格者の事前調査、分析が義務化されたことで、業務負担が増えた面もある。
中古流通ではスムストックの実績は伸びなかったが、新築会社の中古買取再販事業の強化は進んだ。
買い取ってバリューアップして流通させるという事業はストック分野では重要な事業となっており、既存住宅の断熱性能向上は必須の課題だ。電気代高騰も後押しとなって、蓄電池リフォームの需要も増えた。
卒FIT家庭に向けた訴求だけでなく、太陽光とセット販売も一部メーカーでは力を入れてきた。
中古マンション流通は2023年前半は振るわなかったが、後半に成約が増え始め、新築マンションの供給数との乖離は更に広がった。
在庫件数は増加基調ながら、首都圏中古マンションの平均㎡単価は過去最高を更新。価格の上昇は続いている。
新築市場に比べて、ストック市場は明るく、期待の持てるニュースが多い。
今年も3省連携補助金は手厚く、ストック市場には追い風が吹きそうだ。 (関)