■2023年の住宅業界に関連する10大ニュース
持家は本格減少期に突入
2024年はまだ1ヶ月も経たないうちに、既に激動の年となっている。災害、事故の辛い出来事から、株価の暴騰と実に目まぐるしい。2023年は「新時代」をキーワードとして始まり、何より3年強続いたコロナが収束し正常化へ向かった年であった。
住宅業界では、持家着工が25万戸割れ時代に突入したという大きな転換期となった。2022年度の持家着工は24.8万戸と62年ぶりに25万戸を割り、この1年月間2万戸割れが続いた。
住宅販売が振るわない要因として、インフレと円安が進行したことが大きい。
高い物価上昇率が続き、実質賃金の低下は2年近く続く。
販売不振と原価高騰の影響を受けて、企業の住宅事業の収益力が急低下。赤字転落という企業も多く出た。
また22年末の異次元金融緩和の修正以降、長期金利が上昇へ向かい、年間通して日銀政策は徐々に正常化、金利上昇の方向へ動いた。
貸家、リフォーム市場には明るさも
長く貸家受難の時代が続いたこともあって、21年度以降の貸家市場は着工増を維持。特に22年度の中高層賃貸の着工はリーマン危機後で最多となった。大手ハウスメーカーの賃貸受注は戸建とは全く異なる状況で、戸当りの面積も大型化、ZEH化も進んで単価は上昇し続ける。
窓改修ブームもあり、リフォーム市場も好調を維持した。光熱費が高騰し、家の断熱性能を高める重要性が注目される中、2023年は政府の巨額補助金、特に上限200万円の先進的窓リノベ事業が後押しした面も大きい。
株価、地価、業界再編…
バブル期を見るような株高と不動産価格の上昇も進んだ。日経平均株価は28%上昇、1989年以来の歴史的な上昇で、大納会は33,464円で取引を終えた。
株価上昇は今年更に勢いを増し、約34年ぶりのバブル後高値更新を続けている。またマンション販売価格が過去最高値を付けており、もはや億ションが当たり前。住宅地地価も全国的に上昇基調となった。
23年の業界最大のM&Aと言えるのは、オープンハウスグループによる三栄建築設計の子会社化だろう。
23年9月期の売上高が1兆円を超え、飯田グループに迫る巨大陣営に拡大。ハウスメーカーとビルダー等、垣根を超えたこれまでにない新しい連携も出てきた。
積水ハウスと地域有力ビルダーのSIコラボレーション、積水化学はリノベるの中古買取再販の共同事業を開始した。
一方、日本の住宅を安くすることに貢献したジャーブネットが解散。役割を終えて25年の歴史に幕を下ろした。新時代の到来を予感させる出来事も多かった1年である。 (関)