子育てエコホーム支援事業スタート
住宅市況において、インフレという足枷は大きく、これから良くなるキッカケはつかめない。10月の持家着工は前年比17.2%減、18,078戸であり、23 年度では最少、10月としても過去最低水準の着工実績である。
今後の物価上昇も高水準で続くと見られ、11月以降も明るい話題には乏しい。
唯一、市場を後押ししそうなのは、新しい住宅支援制度である。
こどもエコすまい支援事業の後継制度としてスタートするのが、子育てエコホーム支援事業である。
予算は2,100億円と増額、新築とリフォームの両方に出される補助金であるが、申請期限は来年の12月ながらも、毎度のことながら早期終了を見据えて動く必要はあるだろう。
大きな変更点は新築の補助内容で、従来ZEHに対しての100万円が80万円に減額。
一方、長期優良住宅に対して100万円が補助される。
ZEHは今や当たり前の仕様となったということであろう。対象者はやはり子育て世帯であり、一定のメリットは享受できる。
子どもの人数に応じて優遇~フラット35子育てプラス
そこに加えて子育て世帯を応援してくれるのが、フラット35の新制度、子育てプラスである。今、長期金利の上昇が始まっているため、固定金利には先高観がある。
それを今ならば金利を引き下げ、借りやすいプランを提供してくれるということだ。
従来のS(ZEH等)に加え、子どもの数に応じてポイントが加算され、このポイントが併用できる。
これらの合計ポイントによって、金利の引き下げ率と期間が決まるということで、仕組みとしては合理的である。
1ポイントが0.25%の5年間引き下げに設定されている。例えば2ポイントであれば0.50%、4ポイントは1.00%の引き下げが当初5年間続く。
9ポイントになると1.00%の引き下げが10年間、11~15年目の5年間も0.25%の引き下げが続く。
ZEHで3ポイント、子どもが3人で3ポイント、合わせて6ポイントであれば、当初5年間が1.00%、6~10年目までが0.50%の引き下げとなる。
現状、変動金利を選択するケースが圧倒的に多いかもしれないが、長期固定で組む世帯にとっては、元の金利が上がっていく中、今ならば上限で1%引き下げが用意されている。
ローンを組むなら今のうちという後押しにはなるだろう。
今年前半の出生数は35.4万人。前年から4%減少した。
昨年80万人を割って大騒ぎしていたが、今年の減少率も大きく、70万人を割る可能性もある。住宅購入が難しくなっている今、少しでも子育て世帯が優遇される支援制度が求められる。
子育てと住宅購入のダブル支援、活かさない手はない。 (関)
■子育て世帯にはメリットあり~何処まで訴求効果があるか
JSKコラム(2023年)住宅業界月刊TACT