海外M&Aのつまずきで巨額損失を出すケースが目立ってきているが、M&Aや業務提携はプラスに働くことも多い。ハウスメーカーも多くの海外住宅会社の買収に動いているが、現状うまく行っているように見える。
また異業種が住宅会社を買収、業務提携、資本提携といったケースも度々見られる。特に最近目立っているのは、拡大が見込まれるストック市場への参入だろう。
直近では、ニトリホールディングスが、中古戸建買取再販の最大手、カチタスを持ち分法適用会社とした。ニトリと言えば31 期連続増収増益、成長著しい企業の一つであるが、好業績のうちに新たなジャンルを開拓し、将来成長が鈍化した時に備えるという。ニトリとしては初めての大型資本参加ということで、家具、雑貨を中心に売るニトリと、家とのコラボでの展開である。しかも新築住宅ではなく、中古買取再販の大手と組んだ。カチタスも名古屋の同業他社と業務提携しており、グループで年間4,400 戸の供給体制となっている。カチタスがリフォームした中古住宅に、ニトリの家具を配置し、ホームステージングを施してまとめて売ってしまおうというわけだ。ストック市場を動かす一つの追い風となるかもしれない。
保険大手のSOMPO ホールディングスも神奈川のフレッシュハウスを傘下に収め、リフォーム市場に本格参入している。2021 年度に直近の2.4倍に当たる160 億円規模まで事業を拡大させる目標を打ち出した。既存のルート以外に、火災保険、介護、またグループ社員といったグループ会社の資源を活用して、新規事業で4割を稼ぐ計画という。
ヤマダ電機は住宅事業全体を拡大しようと、エスバイエルや住設のハウステックの買収に加えて、リフォーム専業大手のナカヤマと業務提携した。いずれも事業拡大の課題となるのは、提携施工業者だ。事業拡大の基盤となって来るのは、施工の手と品質確保、品質向上といった点で、業務提携や資本提携は、その辺りが肝になってきそうだ。
住宅周辺分野に絡む業界の大手が、相次ぎストック市場に狙いを定めており、ネットや物流のリフォーム参入、宅配ボックスの急速なニーズの高まり等、市場停滞と言われつつも少しずつ業界内にも変化が起こっているように思える。ストック業界内に新たな動きが生まれてきそうである。 (関)