31年ぶりの大転換期がやって来た!


 

31年ぶりに上昇した住宅地地価

コロナ禍以降、世の中の変化が劇的になっている。
変化のスピードも速く、半年前とは状況が一変していたりする。
「何十年ぶり」という言葉も一体何度聞いたであろう。
特にマネー、価格に関する動きが激しい。
40年ぶりの欧米のインフレから急激な利上げが日本にも波及する。
9月に入ってからは円が急落、24年ぶりの円安水準となり、円買いドル売り介入に踏み切ったのも24年ぶりだ。
為替相場はいつ1ドル150円を超えるかという状況が続く。 

一つの転換期を迎えたと言えようか、31年ぶりに日本の住宅地地価が上昇に転じた。
地価が上昇していたのは、1991年バブルの崩壊の兆しが出始めた頃である。
その後は住宅地地価は下落に転じ、それが30年間続いた。
今年は全国ベースでは上昇となったが、この30年間に起きたのは地価の二極化である。
下落が続く地方に対して、需要の多い都市部は上昇が続くという流れはまだ変わっていない。 

■住宅地地価が31年ぶりにプラスに転じる
住宅地地価が31 年ぶりにプラスに転じる
 

消費者物価上昇率も31年ぶりの高水準

もう一つ、31年ぶりの数値が9月に発表された。
8月の日本の消費者物価指数はコアCPIで前年比2.8%上昇、91年9月以来、30年11ヶ月ぶりとほぼ31年ぶりの消費者物価上昇率となった。
 
この91年という年はバブル景気の崩壊と失われた10年の始まりの年である。
消費者物価指数からもわかるように、デフレ期の始まりだが、まだバブルの雰囲気があった年である。
そして平成の経済停滞が続き、リーマンショックやコロナ危機を経て、今年は日本で多くの若い世代が経験してこなかったインフレ状況下に置かれることになった。
91年は世界的にも湾岸戦争勃発、ソビエト連邦崩壊という大きな変化が起こった年で、今年はウクライナ侵攻とロシアも31年ぶりの大転換期を迎えている。

■消費者物価指数もほぼ31年ぶりの上昇率
消費者物価指数もほぼ31 年ぶりの上昇率
 

大転換期の住宅市場は?

今年はそういう年であり、ある意味では31年前の市場動向に近いと言える。
コロナ禍以降の世の中の変化は激しいため、このまま地価や物価が上がり続けるということではないかもしれない。
しかしこれまでとは全く異なる状況下に置かれた大転換期を迎えていることは確かである。 

91年度の住宅着工はというと、前年比2割減少の134.2万戸。
翌年から96 年度まで増加に向かう谷の時期で、住宅着工の点からも91年度は大きな転換期にあった。
2022年度の住宅着工は概ね前年並み、劇的な変化はないと思われる。
将来、2022年という年がどういう位置づけとなるかは分からないが、住宅市場でも何かが変わる年になりそうだ。
30年という長い間、デフレ下で売って来た状況とは、まるで異なる市場環境下にある。(関)
 

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