安倍政権の功績
多くの日本人がずっしりとしたダメージを受けた衝撃的な事件である。
今年は世界を震撼させたウクライナ侵攻を始め、ショッキングで辛い出来事が多い。
日本の安全神話の崩壊とも言える安倍元首相の襲撃殺害は、実に痛ましく重苦しい事件だ。
追悼の意を含め、安倍政権時代の功績として、当時の住宅業界を振り返ってみる。
リーマン危機以降は100万戸を割り、人口減少期においての住宅着工は、アベノミクス時代には比較的高い水準を維持したと言える。
長期政権によってもたらされた安定は、住宅購入者に安心感を与える効果もあったであろう。
■アベノミクス時代前後の住宅着工戸数推移
低金利・株高・女性活躍推進で需要喚起
第一のプラス効果は、3本の矢の1つである金融緩和による異次元の低金利政策。
今もなお低水準で推移する住宅ローン金利は、住宅需要の押し上げ効果は大きかった。
世界でも数少ない低金利政策の国となっているが、当時も今も、この低金利でなければ住宅市場は大きく冷え込むことになっただろう。
金融政策は円安に導き、コロナ前までにはインバウンド需要を大幅に拡大させた効果もあった。
第二は、高い水準を維持する株高と経済の安定である。日経平均は1万円割れの状態から2018年には24,000円超まで2倍以上に拡大した。
富裕層が増え、住宅やリフォームの市場を後押しした。
第三は、成長戦略の一環として、女性雇用、女性活躍の促進である。就業者数も増え、共働き世帯の増加により、住宅購買力が上向いて、住宅購入に向かわせた面もあったであろう。
1億総活躍社会、企業の働き方改革も推進し、幼児教育無償化等も住宅の需要促進に影響を与えた。
アベノミクス時代の住宅着工は年平均93万戸
7 年8 ヶ月という長期政権は日本経済にも、住宅市場にも安定をもたらした。
安倍首相の誕生後、2012 年度通期の着工は89. 3 万戸、その翌年は震災復興や増税前駆け込みもあって98.7万戸、増税反動減を経ても2018年度までは90万戸内外の着工をキープした。安倍政権時代の平均住宅着工は93 万戸である。
その後、2019 年度は増税影響、20年度はコロナ禍で、住宅着工は80 万戸台に突入した。
アベノミクスの政策は、今もなお効果が続いていることも多い。
ただ金融緩和や円安は行き過ぎた面も出ており、また別の手を打たなくてはならない局面にも立たされている。
参院選で圧勝した現政権には、実に難しい舵取りが求められている。 (関)
■アベノミクスによる住宅プラス効果
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