6割以上の企業が値上げへ
日本でも物価が上がって来たと感じられることが多くなった。これまで値上げを我慢してきた企業でも値上げに踏み切るところが増えている。
帝国データバンクの調査(1,855 社、複数回答)によると、主要製商品・商材、サービスの値上げ動向では3割の企業で既に値上げをし、2022年4月以降1年以内で値上げした・する予定としている企業が、43.2%となった。
定も含めて企業の64.7%が値上げへ踏み切る決断をしている。
■65%の企業が値上げに動く
※帝国データバンク調べ「企業の値上げ動向(複数回答)」1,855社
そもそもはコロナ禍が発端の世界的なインフレで、エネルギーや原材料等が高騰。仕入価格の上昇を販売価格へ転嫁する形での値上げである。
ウクライナ情勢によっては、更なる原材料価格の上昇も懸念されるため、一過性の動きではないだろう。
一方で、「値上げしたいが、できない」企業も16.4%もある。
値上げすると競合に負けてしまうという理由だ。
ただ、今や1ドル130円台と20年ぶりの水準が続く円安も物価を押し上げる要因になっており、物価上昇は当面止められない状況だ。
日銀の発表する企業間で取引される企業物価指数は、昨年10月に前年比8.0%上昇という40年ぶりの物価上昇率を突破して以降、今年1月は8.9%、2月9.3%、3月は9.5%と上昇率を高めている。前年を上回るのは13ヶ月連続で、歴史的な高騰はロシア経済制裁の影響も大きい4月以降も続くと見られる。
輸入物価の上昇率は円ベースで33.4%という高さだ。
企業物価指数は記録的上昇率続く
公表する744品目のうち約7割に当たる526品目が上昇したが、品目別で特に上昇率が高いのが、ロシア産木材の供給不足で値上がりが顕著に出た「木材・木製品」で、前年同月比58.9%上昇となった。
「鉄鋼」が27.9%、「石油・石炭製品」は27.5%と高い伸びが続く。
いずれも住宅業界に直結する品目の上昇が目立っているが、木材に関してはウッドショックが騒がれ始めた1年前から高水準が続く。
50%超の上昇率は6月以降は落ちつくかもしれないが、高値止まりに変わりなく、住宅会社はまだまだ厳しい状況に立たされ続けると見られる。
米国では直近で0.5%利上げなど、インフレを抑える動きが始まっているが、日本は今の経済状況では日銀の政策の通り、利上げは難しい。
物価状況はこの1年で一変しており、これが短期で解消される可能性は極めて低い。
価格転嫁とコストダウンの両軸での販売戦略で、この大波を乗り越えなければならない。 (関)
■企業物価指数の上昇続く
※日銀「企業物価指数」
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