ウクライナ危機と日本の住宅業界
コロナ禍の出口が見えないまま、新たな不安要素が世界を震撼させている。
人類の敵はコロナウイルスであったはずだが、ロシアがウクライナに侵攻したことで脅威となる対象が増え、先が全く見通せなくなった。ウクライナ危機は世界中の経済を混乱させ、多大なマイナス影響を及ぼし始めている。
インフレを抑制しなければならないという状況下において、原油高は更に勢いを増した。
小麦やアルミ、レアメタル等の価格高騰も避けられないだろう。
ロシアに対する欧米や日本による経済制裁も拡大されていく中において、住宅業界にも間違いなくその余波が襲ってくるはずだ。
収束が近いかと思われたウッドショックも再燃は免れないだろう。
日本に入って来る輸入木材という点では、ロシア産木材は多くはないかもしれないが、欧州、米国では既に影響が出ており、米国の住宅木材先物価格は1週間余りで16%上昇したという。加えて原油高は確実に輸入材の高騰に直結する。
世界のあらゆる経済的事象はつながっていることは、コロナ禍で改めて学んだことで、資源輸入国である日本は原油、液化天然ガス、鉄鋼の輸入量も多い。
ロシア経済制裁影響はどこをどう辿って住宅業界に波及してくるか分からない。
ロシア・ウクライナ産で世界シェアの7~8割を占めるという素材もあり、その中には半導体製造装置のレーザー光源に使うネオンやクリプトンという素材も含まれるということだ。
ただでさえ逼迫状態にある半導体不足はより深刻化するだろう。
住宅設備系の生産停止や納品遅延もしばらく落ち着かない状況が続くと見られる。
エネルギー価格の上昇も間違いなく起こる。
複合的なマイナス影響に備えよう
再エネシフトはまだ道半ばで、化石燃料を輸入に頼っている状況では、電気代やガス代には更に上昇圧力が掛かる。
株価暴落や世界的な経済危機の可能性、また非常時における心理的な消費マインド低下もあるだろう。
どのくらいの影響が出てくるかはまだ把握できない状況であるが、複合的なマイナス影響を覚悟しておく必要がありそうだ。
これからしばらくの間、コロナ、インフレ、ロシア・ウクライナ危機といった大きな三重苦に立ち向かっていかなければならない。
自然災害に向き合うことも大きな課題となっており、脱炭素対策待ったなしである。
2030年までに皆で持続可能な社会を目指していこうというSDGsは、世界共通言語であるはずだ。
道を誤らず、サステナブルな地球のために力を尽くさなければならない。 (関)
■ロシア・ウクライナショックによる住宅業界を揺るがす影響
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