脱炭素に起因する「グリーンフレーション」
脱炭素時代の幕開けで、再生可能エネルギーの注目度が一気に高まっている。その流れを受けて、昨年から起こっているのが、原油価格の高騰等、エネルギー資源の価格上昇だ。
近頃では、「グリーン」と「インフレーション」を合わせた、「グリーンフレーション」という造語が叫ばれるようになっている。
脱炭素の流れがエネルギー価格のインフレを引き起こすということであるが、まず供給サイドが原油・ガスの新規投資にブレーキを掛け、供給を抑制する方向に動くことで需給が逼迫する。
またカーボンプライシング、炭素税の導入等で生じた排出コストにより、化石燃料によるエネルギー価格は更に上昇していく。
そして急ピッチで進行する再生エネシフトへ向けての技術開発、設備投資の価格転嫁により、結果としてエネルギー価格が高騰するというメカニズムだ。
資源輸入国である日本にとっては、大きなインフレ圧力が働くことになる。
また発電量そのものが需要に追い付かず、冬場は大雪の影響で電力供給が厳しくなることも増えている。
■脱炭素対策で起こるグリーンフレーション
脱炭素社会に向かうには、再生エネ発電をもっと増やさないといけない。
メガソーラーも一時期増えたが、土砂災害等のリスクを伴う場合もあり、住宅等の屋根に載せた太陽光発電で極力、電力を賄えるような社会に進んでいく必要があるだろう。
国の政策は、住宅のエネルギー自給自足化を後押ししてくれている。
高性能住宅には住宅ローンの減税を手厚くし、こどもみらい住宅支援事業でも、ZEHに最大の100万円補助金を給付する。
環境に貢献する住宅取得には手厚い支援
一方で省エネ非適合住宅はローン減税の恩恵も少ないし、省エネ補助金も支給されない。加えて購入する電気代には、再生エネ賦課金が毎月載せられ、その金額はどんどん高くなっていく。
20年度から21年度に掛けては、2.98円→ 3.36円/kWh と12.7%も上昇、標準家庭において月間約1,000円の負担を強いられている。
22年度は未定だが、上昇することは間違いない。太陽光発電を搭載しない住宅には、グリーンフレーションの影響がより大きくなる。
ガソリン価格も記録的な高値で、これも家計を圧迫する要素だ。
太陽光で発電した電力を蓄電池に貯めて自給自足し、EVと連携してガソリン代もゼロにする。
グリーンインフレだからこそ、エコで家計も助ける新築戸建のゼロエネ高効率住宅が重要性を増す。
コロナ禍で住宅の考え方、価値観が変わったように、グリーンフレーションが住宅とエネルギーの考え方を変えていく。 (関)
■電気料金に載せられる再エネ賦課金は上昇続く
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