相続税対策等による都市部での建替需要の活性化をうけて、3階建以上の中層住宅に注目が集まっています。その一方で、3階建ほど目立ちませんが、1階建つまり平屋住宅の市場も徐々に拡大しています。国交省発表の平成25年度着工統計によると、住居系建築物のうち平屋は約3万8千棟あり、住居系全建築物に占める割合は7.4%となりました。以前は6%ほどのシェアで推移していましたが、ここ数年シェア・棟数ともに上昇傾向にあり、シェア1割に達する可能性も見えてきました。
平屋が拡大している要因としては、団塊世代等がリタイア時期を迎え、夫婦二人の老後の住まい需要が増加していることが考えられます。しかしそれ以外にも、若年層の新婚夫婦や子育て世帯等でも平屋を選択するケースが増えているという声も聞かれ、持家だけでなく戸建貸家も一定の需要が見込まれるようです。エリア分布としては、南九州がシェア4割と目立ちますが、意外と都市部でも需要はあり、今後、更に需要が拡大する可能性もあります。
住宅メーカー各社でも、平屋は増加しています。平屋を得意としているのは、積水ハウス1,640棟、住友林業1,174棟の2社であり、大和ハウス575棟、パナホーム532棟、積水化学390棟等が続きます(住宅産業研究所調べ)。中でも住友林業は平屋シェア13%に達しており、その強みを更に活かすべく、このほど新たな提案を盛り込んだ平屋商品を発売しました。
新商品「グランドライフ ステージ」は、“未来にそなえる平屋”をコンセプトとし、当初は平屋で建築しておいて、将来的に2階建へと容易に増改築対応できることを配慮した設計をアピールするものです。初期投資を軽減することで、高齢者から若年層まで幅広い層をターゲットとし、住宅建築に際しての心理的なハードルを少しでも下げる効果も期待されます。(脇田)
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