2020年度中に1棟以上住宅の確認申請を提出した企業数はコロナ禍影響もあり、19年度比▲1,764社の30,258社
住宅関連分野に特化した専門シンクタンク株式会社住宅産業研究所(本社:東京都新宿区、設立:1976年、代表取締役:関博計)は、このほど「2020年度都道府県別低層住宅供給動向」調査を行いました。本調査は2002年度より全国に調査範囲を広げた上で毎年実施し、全国47都道府県における企業別の住宅供給動向を明らかにしているものです。
国土交通省による2020年度新設住宅着工戸数は812千戸、前年比▲8.1%と、2年連続の減少となっています。2020年度は新型コロナウィルスの感染症拡大を防止するため、一時住宅着工を見合わせた企業があるなど、住宅着工の下振れが懸念された1年でしたが、想定された最悪のシナリオほどの落ち込みにはならなかったとされています。
対して、3階建以下の低層住宅において、1棟以上確認申請を提出(=住宅着工)した企業数は30,258社、前年比▲1,764社。18年度→19年度は▲921社であり、住宅を建築した企業数が大きく減少しました。
今年度の住宅着工に関しては、今春から表面化したウッドショックなどの影響が懸念され、中小工務店を中心に木材確保に苦労、着工遅延するケースが散見されています。とはいえ、コロナ禍による戸建需要はまだ高いままで、7月着工時点までは、持家、貸家、分譲における着工戸数は前年比を上振れていますが、中小工務店による着工が減る可能性は否めず、2020年度よりも住宅を供給する企業数は減少する可能性が否定できないと考えられます。
【調査結果のポイント】
1.20年度の低層住宅(3階建以下)着工において、1棟以上の着工(確認申請の提出)があった企業数は30,258社。
19年度比では▲1,764社(▲5.5%)。
18年度→19年度では▲921社(▲2.8%)であり、1年間の中で住宅を建築した企業数の減少が拡大。
2.要因としては、
【コロナ禍を起因とするもの】
①コロナ禍ステイホームによる一次取得層の戸建需要はそれなりに旺盛で、建売を供給する企業を中心に潤ったケースは見られるものの、コロナ禍による将来不安の増大による建替層の動きが悪く、持家(注文住宅)を主力とする企業を中心に厳しかった
②コロナ禍による感染拡大防止の観点から、一時着工を見合わせるなどしたケースも影響
【それ以外】
③人口減少や住宅取得層である若い世代の減少も一定影響
④年々良質な新築住宅供給が増えていることに伴い、建替えサイクルが長期化していることによる減少
⑤地方の工務店などを中心に、後継者問題に伴う廃業や下請けへの業態転換も年々増加
M&Aに伴う社数減少も一定数存在する
3.持家戸建住宅だけに限ると、20年度は24,901社で1棟以上の住宅供給を行っているが、19年度比では▲1,651社(▲6.2%)。
18年度→19年度は▲684社(2.5%)で、全低層住宅よりも、持家戸建を行う企業数の方が減少が大きい。
※参考データ
供給規模別の社数及びその割合(上段:低層住宅全体、下段:持家戸建住宅)
※上記社数からは大手ハウスメーカー22社を除外しており、総数+22社で全社数となります
【本件に関するお問い合わせ】
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【株式会社住宅産業研究所について】
1976年住宅関連分野に特化した、専門シンクタンクとして設立。
以来40年以上に渡り、マーケティングレポートの発刊、月刊誌「TACT」の発行、セミナー開催、経営コンサルティング、教育研修、受託調査など多彩な事業展開を行ってきている企業です。
自社発行資料だけでなく各種メディアへの記事提供なども行っております。
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