大手メーカー10社の2015年9月受注はアパートを含む全体棟数伸率で前年同月比▲4%、12カ月ぶり減となりました。8月までは何とか連続プラス受注を維持していましたが、ボリュームの大きな9月受注は予想以上に厳しい結果となりました。前年14年9月は反動大幅減(大手10社▲31%)、前々年13年9月は駆け込み大幅増(同37%増)という特殊要因があるため前年との単純比較は難しいのですが、もう1年遡り12年9月比でみても91%水準に留まります。9月受注はやはり厳しかったということになります。
9月受注が予想以上に厳しかった背景には、8月中旬以降の株価大幅下落+乱高下、その主要因である中国経済の減速、8-9月発表の景気指標で下方修正や弱含みのものが目立つなど、市場環境の悪化があると考えられます。主力の戸建請負は後押し材料に乏しく、依然として長期化・様子見が目立つ状況にあり、住宅計画者のマインドがさらに低下することが懸念されるところです。
一方、先行指標の9月集客は若干上向きの兆しも見られます。9月は6年ぶりに5連休となったシルバーウィークが大幅増となり、大手10社の9月集客は概ね10~15%増となりました。前年よりも休日数が1日多いため、休日当たりの来場数は実質前年並み~微増となりますが、比較的中身は濃く集客は健闘しています。
集客が健闘している背景には、各社のキャンペーン、フェアなど例年以上に積極的な販促仕掛けの展開があります。特に、最近目立つのが異業種との【コラボ企画】であり、【映画】【玩具・おもちゃ】【アウトドア】などこれまで見られなかった意外性のある新感覚のコラボ企画が目立つのが特徴です。厳しい市場環境下、各社ともあの手・この手の仕掛けを展開することで、住宅計画者の購買意欲を少しでも上向かせると同時に、今まで取れていなかった顧客層を取り込もうという狙いがあります。今後も住宅市場の見通しは決して楽観できるものではありません。創意工夫とアイデア溢れる販促仕掛けを継続し、潜在客を含め住宅計画者が関心・興味を持つキッカケを作り続けることが重要です。(岩澤)
■住宅メーカーが仕掛ける新感覚の異業種【コラボ】事例(戸建関連)