加速する少子化
将来に亘って最も大きなダメージを与えるかもしれないコロナ影響は、日本の少子化の加速である。
ただでさえ人口減少が加速し、高齢社会へ突き進んでいる中で、コロナは子供を産みにくい環境を作ってしまった。
年間出生数が100万人を割ったのが2016 年の97.7 万人。
70年前の団塊世代の約270万人の3分の1程度まで落ち込んだ。
そして減少は加速し2020年の出生数は前年比2.8%減、84万800人台となり、5年連続で過去最少となった。
そして2021 年の出生数は80万人を割る可能性があり、75万人規模にまで落ち込むかもしれない。
社人研の推計値では、出生数が75 万人規模になるのは2039 年頃と予想されていたが、今年の出生数が本当にそこまで減れば、18年前倒しということになる。
コロナで結婚・出産先送りか
わずか5年で20万人もの減少となったその要因は想像に難くなく、結婚と妊娠の急減である。
特に昨年に関してはコロナ禍で結婚式も挙げられない等で、結婚の先送りや一度白紙に戻したケースもあるだろう。
厚労省発表の2020 年の婚姻数の速報値は52万5490 組と、前年よりも7万組以上、12.3%減少した。戦後最少であるという。
また医療逼迫等により、妊娠や通院・入院すること自体が躊躇され、出産自体も計画的に先送りした可能性がある。
自治体に届け出る妊娠届も20 年5 月に前年同月比17.6%減を記録し、それ以来件数が公開されている10月まで、1 ~ 10%程度のマイナスが続いているという。
5~ 10月の累計で前年比8.2%減と妊娠が減っているということは、間違いなく21 年の出産は減ることになる。今年1~3月の出生数は19.3万人、前年比9.2%減少した。
この新生児の大半はコロナ感染拡大後の妊娠であり、出産先送りも見て取れる。
このままでは無子化社会?
20 ~ 21年の2年間はコロナ禍の特殊要因があり、その後結婚や出産もリバウンドして元に戻る可能性はあるが、晩婚化、晩産化が進んでいることはコロナ以前から見られた傾向でもある。
更にコロナによって出会いや結婚に発展する機会損失が大きかったことも事実である。
出会いが減ったという事実は今後の婚姻数の激減も予測され、少子化どころか無子化社会が訪れるとも言われている。
住宅購入の時期は、結婚後や出産を控えて、または子供の成長に合わせてということが多い。
特に結婚や出産は重要な購入動機にもなるため、将来の出生数の更なる減少は住宅着工の減少につながる。
20年後の20歳人口は今の3分の2くらいに減る見通しだ。
コロナが少子化を加速させ、これが定着してしまえば、やはり業界へのマイナス影響は大きい。
非住宅や海外展開も視野には入るが、まずはストック事業強化は一つの少子化対応策と言える。 (関)
■出生数の減少が続く、今後激減するか
※厚労省「人口動態統計」
JSKコラム(2021年)住宅業界新型コロナ月刊TACT