消費税増税の影響により、昨年度の住宅着工戸数は大きく減少しましたが、単に市場規模が減っただけでなく、住宅需要の中身も大きく変化した項目が目立ちます。
例えば、持家の平均床面積の推移を見ると、長らく減少してきましたが、ここ数年はやや横ばい傾向を示していました。しかし、昨年度、平成26年度は前年度から▲1.4㎡減少して全国平均で123.6㎡となり、平成15年度と比べると▲11.2㎡も狭小化しています。
また、床面積を8つに区分して、そのシェアの推移を見ると、
- ①70㎡以下 : ▲ 1.0ポイント(平成15年度→26年度)
- ②71~100 : + 3.2ポイント
- ③101~120 : +11.7ポイント
- ④121~150 : ▲ 1.8ポイント
- ⑤151~180 : ▲ 5.6ポイント
- ⑥181~200 : ▲ 2.4ポイント
- ⑦201~230 : ▲ 2.0ポイント
- ⑧231㎡以上 : ▲ 2.1ポイント
となります。傾向は一目瞭然であり、シェアが増加しているのは、「71~100㎡」と「101~120㎡」の2つの面積帯のみで、その他はすべてシェアを落としています。つまり、100㎡を中心として上下20~30㎡の範囲の住宅に勢いがあるということで、素直に狙うならば、この面積帯を中心としたいわゆる「狭小住宅」に力を入れるべきでしょう。
都道府県別の平均床面積では、最大の福井県140.7㎡から最小の鹿児島県113.9㎡まで幅がありますが、床面積の狭小化は全国的な傾向です。平成25年度→26年度にかけて狭小化が進んだ県を見ると、山形▲6.1㎡、秋田▲4.5㎡、佐賀▲3.9㎡等が上位に来ますが、これらは平均床面積が全国的にも大きな県であり、大規模住宅が多いという地域特性よりも、狭小化の方が強い引力を有していると言えます。
今回は床面積の狭小化というテーマを取り上げましたが、その他の分野でも大きな変化を起こしているものがあります。今後、住宅市場規模が縮小していくことは確実ですが、その中身も同時に変わっていくことを示唆していると見るべきでしょう。(脇田)
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