増税とコロナの影響~リフォームと新築の違い
1年前はまだコロナが何者かよくわからず、経済へ与える影響がどれくらいのものか、住宅着工にどれだけ影響があるか、未知数であった。
旅行や外食は早期に壊滅的なダメージが表れたが、住宅業界ではまずは不動産のJ-REIT等の暴落、商業地価の急激な下落、住宅設備生産ストップがあり、その後展示場集客激減等が表れてきた。リフォームは厳しかった分野だ。
消費増税の反動減に続くコロナ禍は、新築もリフォームも大きなダメージであったが、19年10月から20年9月までの市場動向としては、やはりリフォームの方が落ち込んだと言える。
国交省のリフォーム調査によると、この増税+コロナ禍影響の出た1年間の受注高は前年同期比19.8%減となっており、持家や建売分譲の新築戸建の着工の減少率よりも大きかった。
増税以降、落ち込みの谷は大きく出たが、これは山、つまり駆け込みが大きかったことも要因である。
下図の前年同期比推移を見ても、新築持家は山も谷も小さいが、リフォームはその振れ幅が大きいことが明らかである。
■ 住宅リフォームの四半期受注高と前年比
※国交省「建築物リフォーム・リニューアル調査
リフォームのダメージは短期で解消か
マイナスの期間としてみると、少し違った見方も出来る。
リフォームは直近10~12月期には前年を上回るまで回復しているが、持家のマイナスは19年の7~9月期から始まっており、直近の20年10~12月期で見てもまだ0.9%の減少である。
つまり持家着工は6四半期連続でマイナスが続いているということで、長くマイナス影響を受けていると言えよう。
また分譲住宅も4四半期連続でマイナスであり、10~12月もまだ回復度合いは鈍い。
■ 新築持家と分譲の四半期着工と前年比
※国交省住宅着工統計
もちろん市場構造が違うため、これだけで市場のダメージ度合いを比較することはできないが、こうしてみると、リフォームはダメージは大きかったものの、比較的短期間の落ち込みで、底打ちからの回復は早いとも言える。
受注から引き渡しまでの期間が短いということで、影響が短期に出るということもあるのだろう。
動き出すリフォーム需要
コロナ収束にはまだ時間が掛かり、正常化というところにはすぐには戻れないだろうが、とりあえず緊急事態宣言は解除され、リフォーム需要は動き出す。
間違いなく前年の4~6月期の最悪状況は大きく上回るはずだ。
厳しい中でも前向きに、確実に存在するリフォーム需要を捕捉していきたい。(関)
JSKコラム(2021年)TACTリフォーム住宅業界新型コロナ