貸家の勢いが止まりません。2014年度に消費増税の駆け込み反動減で住宅着工が10.8%減と低迷した中で、貸家は3.1%減に留め健闘。翌2015年度も持家や分譲を上回る7.4%増の38.4万戸と、堅調に推移しています。
そうした中で、最近目立って話を聞くようになってきたのがアパートの1棟売りです。これまでもアパート最大手の大東建託は1棟売りの仕組みとして「ランドセット」を展開、元々は地価の安いエリアをメインとしてきましたが、このところは首都圏でも強化の流れのようです。またサラリーマンや公務員を中心に、投資用アパートを販売するシノケンやインベスターズクラウドといった企業の業績も好調です。
こうした流れを受けてか、最近はハウスメーカーでも1棟売りがちょっとしたブームになっているようです。下図は積水ハウスが北関東エリアで出稿している広告ですが、「積水ハウスがご提案する不動産投資」として、マイナス金利を背景に不動産投資を促す内容となっています。メーカー系では今のところサラリーマンではなく、株で儲けるなどキャッシュリッチな層やアパートを既に複数棟所有している地主を中心に販売しているようです。
1棟売りは土地を持たないユーザーをターゲットに出来るという点で伸び代はありますが、遠方に住む土地勘の無いユーザーでもお金さえ支払えば購入することは可能なため、トラブルにならないよう慎重な取り扱いが必要となりそうです。(平野)
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