コロナ禍の2020年総括


 

できないコトを穴埋めするためのモノ消費へ

大変な1年だった。価値観を変えた1年でもあった。
コロナで世の中全体が甚大な影響を受け、需要が消滅して崖を転がり落ちた業界もあった中、住宅業界は追い風すら受けた部分もあり、住宅会社によっては良い方に転んだところもあった。 

コロナで一番のダメージを受けたのは、旅行や外食、エンタメといった楽しいサービスを提供する分野である。これらコト消費に対してコロナが奪った経済損失は、のちに取り戻すことは難しい。
例えば旅行を我慢したからといって、来年2 倍の予算や頻度で旅行へ行くことにはならないだろう。失った消費と言える。

今我慢している気持ちの捌け口が向かいやすいのは、コトを穴埋めするためのモノへの消費になるのかもしれない。旅行や外食で使わなかったお金や思いの向かう場所の一つが巣籠消費であり、必要性が増している家に向かってきている。 
 
■コロナが与えたプラス効果とマイナスダメージ
コロナが与えたプラス効果とマイナスダメージ
 

ニューノーマルの住宅需要と販促活動

コロナが世の中に与えた変化はあまりに大きかったが、マイナスダメージがあった反面、プラス効果もあったのも確かだ。感染症リスクを避けるために湧き出てきたニーズが、ニューノーマル仕様である。
抗菌作用のある建材、タッチレス水栓等の非触設備、ウイルス除去できる換気システム等、今まであまり意識しなかったが、今後もいつ何時感染症が広まるか分からないことを知った今、標準的に求められていく仕様と思われる。 

外出自粛・緊急事態宣言によって、多くの人が出社せずに在宅ワークを無理やりやらざるを得なくなった。部屋が狭い、特に共働き夫婦にとっては雑音が気にならないテレワーク室の需要が高まった。 

イベント自粛、接客自粛で人と会えない中で販促活動をするには、オンライン接客やWEB集客をするしか接点が持てない。強制的に次世代の販促手法に切り替えざるを得なくなっている。 

在宅時間が増えたことで、ストレスが増える部分もあるし、家庭内エネルギー消費は増える。節エネやゼロエネ、家にいながら運動できる設備、また食事を含め家で過ごす時間を楽しむコトが求められる。 

何でもそうだが、不便である故に必要なものが生み出され、不自由だからこそ、それを克服するために何が必要かを考え、新しいアイディアが生まれる。誰もが暗いイメージしか持たなかったコロナ第1波の頃に比べて、我々は知恵を付けた。
経済に与える予期せぬコロナ後遺症が今後襲ってきたとしても、住宅業界は乗り越えられるはずだ。 (関)
 

もっと月刊TACTの記事を読む

※無料試読のお申込みはこちら

 

こちらもいかがですか?

by .