スマートフォン「iPhone」のOSとして9月に配信された「iOS10」へのアップデートで、新しく「HOME(ホーム)」とういアプリが追加されました。アップデート後に新しいアイコンを見つけて「おや?」と思った人も多いことでしょう。
このアプリは、対応している家電等をiPhoneで操作できるもので、モノのインターネットと言われるIoTや、スマートハウスを先取りしたものと言えます。ポイントは、制御の一元化で、このアプリ一つで家じゅうの設備を操作することを目指したものという点です。iPhoneには、話しかけることで端末を操作する「Siri」という機能もありますので、言葉で指示することで、電気を付ける、カーテンやブラインドを開け閉めするといったような未来の生活の実現もそう遠くないものと思われます。
しかし、残念ながらこのアプリは日本ではほとんど使えません。理由は、同アプリがApple社独自の規格「HomeKit」に対応している必要があるからで、日本製の家電や設備などには採用されていないからです。
日本の家電および設備メーカー等では、「ECHONET Lite」という通信規格が採用されており、大手住宅メーカーが採用しているHEMSなどもこの規格に合わせられるように開発されています。既にECHONET Lite対応の家電や設備といったものも一部で供給されており、iPhoneやandroid端末向けのアプリも存在します。ただし、このまま各社が好き勝手にアプリを作れば、制御する設備機器ごとにサードパーティー制のアプリが乱立する、といった感じで、あまりスマートなものになるとは思えません。難しいことだとは思いますが、一利用者の意見として言わせてもらえれば、ひとつのアプリで家じゅうの家電等が操作できる。またはそれに近しいものになっていく事を望みます。
やはり問題となるのは通信規格及びそれに準ずるソフトウェアの統一化です。今回のiOSのアップデートでは、Apple社が先手を打って一元化できるアプリを投入したという事ですが、そもそも日本の家電等に対応していなかったため日本ではインパクトはありませんでした。ただ、今後の日本におけるスマートハウスでも、使う機器ごとに無数のアプリが必要になるといったようなガラパゴス化は避けてもらいたいところです。日本の家電業界および、海外にも進出を始めている住宅産業が、日本ならではの技術力で世界と戦う為には企業の枠を超えた、大胆な戦略が必要になって来るのではないでしょうか。(関・和)
■iPhone(iOS10)に搭載された「HOME(ホーム)」アプリ