コロナ禍がリフォーム市場に与えたダメージ
消費税が10%に上がってちょうど1年が経った。リフォーム業界としては、非常に厳しい環境下におかれた1年だったかもしれない。
増税後の需要減退が少し落ち着いた頃に、日本でもコロナの影響が出始めて、2~3月には中国からの部材調達が止まり、トイレを始めとした設備危機が訪れた。
設備主力のリフォーム業者にとっては納品遅れ等で営業活動が出来ない状態がしばらく続いた。設備遅延問題が落ち着き始めたと思ったら、今度は緊急事態宣言の発出である。
4~5月は営業も施工現場も自粛でストップせざるを得ない状況が全国的に訪れた。初めは、定期点検等をキッカケに、リフォームは定期的に発生する需要があることで、新築ほど大きなダメージは出ないのではないかと思われたが、結果は逆であった。
施主が住んでいる家に上がり込んで工事するというハードルは営業も工事も高く、定期点検そのものも自粛して様子見の状態に留まった。
加えて顧客は50代以上のシニア層が中心であること、また贅沢品の一種とも捉えられるリフォームは不要不急の節約対象の消費とみなされた。
実際にはコロナ抵抗力が極めて弱かったのがリフォーム産業である。また受注から引き渡しまでの期間が短いリフォームは、受注残を多く抱えているわけではなく、結果が早期に表れやすい。
第Ⅰ四半期決算では大きなマイナスに陥ったところが多く、大手ハウスメーカーはほとんどの会社が、新築戸建以上の減収減益という結果に沈んだ。
■ リフォーム市場が1年間受けたダメージ
今後は反転攻勢へ
但し7月以降、早ければ6月頃には少し様相が上向き始めている。消費は山谷を繰り返すものであるという法則は、ある程度その通りであり、増税前の駆け込みと反動減が必ず起こるように、落ち込みが続いた後にはその反発が来る。
溜まっていたマグマが噴出するかのように、ステイホームで顕在化したリフォームの需要が活性化し始めたという声も聞かれる。
世の中の動きも少しずつ正常に戻りつつあり、消費増税が行われ、需要が暗転した境目からちょうど1年の時期に差し掛かった。換気等の感染対策、節エネや家事楽設備仕様等、ウィズコロナ対応のニーズも高まっている。
約1年の間、多くの逆風で随分やられまくった分、これから反転攻勢で倍返しだ。 (関)
■ 第Ⅰ四半期は新築よりリフォームが厳しい
JSKコラム(2020年)TACTリフォーム住宅業界新型コロナ