ここ数年、相続税対策や低金利を背景に着工を伸ばしてきたアパート市場ですが、昨年9月に日本経済新聞において賃貸アパートの空室問題が取り上げられて以降、金融庁が地銀を中心とするアパートローンへの融資残高の増加に対し実態調査に乗り出すなど、供給過剰を懸念する声が増えてきました。つい先日も、週刊ダイヤモンドに不動産投資に警鐘を鳴らす内容の特集記事が掲載されるなど、供給過剰の是非はともかくとして、こうした情報が土地オーナーの目に触れることで、アパート建築の意欲が失われるのは間違いないかと思われます。
こうした状況の中で、「今、アパートを建てるのは危ないんじゃないの?」というオーナーの不安をどう解消するかが問われていますが、各社の新聞広告を見る限りでは、資産運用、遊休地活用、相続税対策、終活…と、あまり代わり映えしていません。広告でわざわざマイナスの情報を与える必要がないとの考えもあるかもしれませんが、実態を知りたいと考える土地オーナーも多い筈で、逆風だからこそ正しい情報を提供する姿勢は今後必要になると思われます。
前置きが長くなりましたが、下図は旭化成ホームズが出稿した新聞広告です。内容としては、最新の賃貸経営リスクと対策について詳細に解説した「賃貸経営リスク対策レポート」と、同社独自のノウハウで高い入居率を維持している「付加価値型賃貸・解説書&実例書」をセットにした「賃貸経営リスクのクスリ+」というカタログセットをプレゼントするという資料請求広告です。広告の中では、土地オーナーが賃貸経営に持つ不安を赤裸々に掲載しています。
「人口は減っていくのに、アパートが増加してるって聞くけど、供給過剰になるんじゃないの?」
「建物が古くなったら、かなり賃料設定を下げないと入居者が入らないんじゃ…」
「もし大地震が起きて、せっかく建てたアパートが壊れてしまったら、借金だけが残ることに…」
「近所でアパートの建築が目につく。入居者の取り合いで空室になったら、どうしよう…」
「想定外の修繕費がかさんで、収益が落ちることはないだろうか…」
「入居者のトラブルで対応に追われたりしたら困る…」
「将来、金利が上昇して返済額が増えたら…」
以上のような様々なリスクを踏まえて、広告内において「「なんにもしない」が、最悪の!? 相続対策。」として、土地オーナーへのアクションを促すことで、資料請求と展示場来場の増加を狙っています。(平野)
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