既存住宅にお墨付き、『安心R住宅』夏にも告示

国土交通省は深尾精一氏を座長に据え、消費者にとって住みたい・買いたいと思える「新しいイメージの既存住宅」の情報提供制度案についての検討会を進めてきました。通称を「安心R住宅」とし、今年3~4月にパブリックコメントを募集、この夏にも告示予定で注目が集まっています。
既存住宅の流通促進を目的としていますが、消費者が抱いている既存住宅に対するネガティブイメージ、特に「不安」、「汚い」「わからない」の解消を目指したユーザーファーストの制度と言えるでしょう。

「安心R住宅」として認定されるには下記の要件があります。
【「不安」の解消】
・耐震性(新耐震基準)を有すること
・インスペクションを実施し、構造上の不具合および雨漏りが認められないこと
・購入予定者の求めに応じて「既存住宅売買瑕疵保険」を付保できる用意がなされていること
【「汚い」イメージの解消】
・一定基準に合致したリフォームを実施していること(実施していない場合は、参考価格を含むリフォームプランを示すこと)
・外装・内装、水廻りの写真等を情報提供すること
【「わからない」イメージの解消】
・各種情報を事前に調べ、広告時点においてそれら情報が「有る」「無い」「不明」の3段階で開示。各種情報とは、(1)住宅性能や設計図書など新築時の情報、(2)維持管理の履歴、(3)保険・保証に関する情報、(4)省エネに関する情報、(5)共用部分の管理に関する情報

上記項目をすべて調査・確認し、情報提供している住宅を「安心R住宅」と定めており、基本的な住宅の性能を担保していることが重要です。
2016年度はマンション流通市場において、中古マンションの流通戸数が新築分譲マンションの成約戸数を上回りました。これは新築分譲マンションの価格帯が手の届きにくいところまで高騰したことが大きな要因ですが、従来の新築思考から徐々に変化しつつあることも確かでしょう。戸建て住宅においても、「安心R住宅」と定めることで安心して取引ができ、新築と比べ安価であることや、リフォームで間取りを自由に変更できるメリットもあり、消費者動向もマンション同様、変化していく可能性があります。新しい既存住宅の在り方として、また、既存住宅の流通促進に通じる起爆剤としても「安心R住宅」は期待できるでしょう。(斎藤)

■安心R住宅の対象となる住宅の要件
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