国内に多くの住宅ストックがあることから、大きな成長の可能性があると言われるリフォーム事業ですが、期待ほどには伸びていません。そうした中で比較的気を吐いているのが分譲マンションリフォームです。
建築後20~30年を迎える物件が多く、また建替えの合意形成が極めて難しいことからニーズも安定していますし、ユーザーの物件購入後リフォームなどは、マンション購入の手段として随分定着してきたように思います。近年は新築のマンション用地確保が極めて困難で、駅前好立地はホテルに持っていかれるケースも多々あるようで、新築の出物が少なくなるという点もプラスに働くでしょう。
また、合意形成のハードルは高いですが建替えにも大きなチャンスが眠っています。先日話題になった日本初の分譲マンション「四谷コーポラス」の建替えには、耐震補強をしても居住困難なほどの老朽化や、排水管工事に該当住戸以外の負担が大きいことで、建替えせざるを得ないという背景がありました。ここまで古い物件がそうあるわけではないにせよ、老朽化が深刻になればいずれ建替えか売却かを迫られることになり、入居者に建替えという選択肢を用意できることには大きな意義があると言えます。
前置きが長くなりましたが、下図は旭化成不動産レジデンスと大和ライフネクストによる、分譲マンション管理組合に向けた広告です。旭化成はマンション建替えで約30件の実績を持つメインプレイヤーで、設計・施工を請け負うだけでなく、住民間の合意形成も行っています。広告では「マンション建替え実践講座」と題して、マンション建替えにおけるポイントや、入居者・所有者の高齢化対応、事例紹介などを交え、マンションの老朽化に悩む管理組合や建替えの委員会に対して、建替えによる解決を図っていく内容となっています。
大和については「マンションを取り除く将来リスク、徹底研究」としており、内容としては、「リスクに負けない将来設計の考え方」「コミュニティがマンションを救う」といったものになっています。今後老朽化が訪れるマンションの将来設計を早めに考えておくというスタンスで、顕在する建替えニーズを拾うというよりも、まずはマンション管理・運営や、大規模修繕工事などその前段階のニーズを汲み取る内容になっており、将来の建替えに向けて住民の意識統一を図るという点でも有効と言えそうです。(平野)