2019年の住宅業界10大ニュース


 

2019年の住宅業界10大ニュース

① 10%への消費増税による駆け込みと反動減が顕在化、支援制度拡充により前回8%への増税時に比べれば影響は小さく
② 自然災害の多発と、レジリエンスへの関心高まる、SDGsも浸透
③ トヨタとパナソニックが住宅事業の統合を発表、その他M&Aも多発
④ レオパレス、大和ハウス、LIXIL等、ガバナンス問題が相次ぐ、ESG経営の重要性増す
⑤ 卒FIT家庭が53万件、2019年問題、蓄電池と電力買取ブーム到来
⑥ 建売市場は好調、オープンハウスやケイアイスター不動産躍進
⑦ 融資厳格化、賃貸住宅の着工減少が続く、アパート市場はマイナス度合い強める
⑧ ビルダーの新しいアライアンスが始動、ホームネットグループ他
⑨ 空き家846万戸と予想よりも増加率は抑制、以前よりストック活用の意識高まる、サブスク含めストックビジネス注目
⑩ 老後2000万円不足問題と出生数86.4万人の衝撃

 

2020年の住宅業界の予想・展望

① 消費増税の影響が続き、受注は苦戦、支援制度の終了間際の駆け込みがあるかも、五輪後のロスでより低迷する可能性
② 自然災害への対策は温暖化防止も含めて世界的な必須課題へ
③ 新会社PLT誕生、住宅業界の再編進む、トヨタ未来都市構想もあり、5G元年でIoT、スマートシティー化への動き活発化
④ ESG経営はより重要視され、会計基準も環境に重きを
⑤ 蓄電池普及が促進、エネファーム等の環境機器も増加
⑥ 建売市場も拡大は一段落か、マンション高値も五輪後に価格は下がる可能性あり
⑦ アパート市場はしばらく底は見えずも、都市部から回復へ
⑧ ビルダーM&Aは全国的に進む、業界を超えた連携も増加
⑨ 空き家活用の施策進み、既存住宅流通は増税後より注目されるはず、街の再生の動きも活発化
⑩ 若年人口減少の影響が加速、着工縮小時代へ向かう

 

消費増税と自然災害

いよいよ2020年という節目の年がやってきた。今年を展望する前に、今一度2019年を振り返ると、住宅業界に大きな影響を与えた2大要素は10%消費増税と自然災害である。増税は支援制度の効果が出ている面もあるが、やはり駆け込みや反動減という受注の波を生んだ。

自然災害は頻発すると共に被害も大きくなっており、耐風、水害に加えて二次災害を抑制するレジリエンスへの関心が高まった。同時に2019年は卒FIT元年でもあり、またノーベル賞受賞という朗報も重なって蓄電池の本格普及期元年とも言える。電力買取、エネファームにも注目が集まった。
 

事業統合とアライアンス

トヨタとパナソニックの住宅事業統合も再編へ向けた大きなニュースであり、今年1月にプライムライフテクノロジーズが誕生した。業界再編の口火を切ったとも言えるが、本格稼働はこれから。ビルダーでもM&Aは日常的に行われ、グループ化は加速している。

2019年は地方優良ビルダーを傘下に入れたホームネットグループ誕生等、新しいタイプのアライアンスが生まれた。異業種ではヤマダ電機がメンテナンス、不動産、そして大塚家具資本提携等、事業拡大への動きも見られた。
 

ガバナンス問題

ガバナンスの問題も相次いだ。レオパレス、大和ハウス、LIXILも社長交代等で世間を騒がせもした。ESGのGの部分も含め、企業経営の示すべき方向性も明確になったと言える。持続可能社会を目指すSDGsもより注目度が高まって来ている。
 

利用関係別動向

市場動向では、建売市場は堅調、賃貸住宅はマイナス度合いが高まった年である。分譲系のオープンハウス、ケイアイスター等、躍進するビルダーがある一方で、アパート受注は一部を除いて回復上昇の兆しは出ていない。
 

ストックシフトと若年人口減

ストック市場へのシフトは着実に進み、既存住宅流通は促進され始めている。問題視される空き家は増加しているが、発表となった2018年の空き家は846万戸と予想よりも抑制された。

また人口減のトレンドとして、衝撃的だったのは、年間出生人数が90万人を割るという報道だ。2020年代は若年人口減の中でどういうビジネスを考えるかが勝負になる。(関)

 
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