消費増税まで1ヶ月余りを残すのみとなった。駆け込みと反動減は、前回増税時に比べるとかなり小さくなっていることは事実である。ただやはりそれなりの影響は出ていることも間違いない。
戸建系の着工は好調
3月に富裕層においていわゆる駆け込みの動きは出ていたと見られ、着工データでも4月以降大型住宅が増えていたという。
2019年度の着工は、非常に明暗がハッキリとした動きをしている。持家に関してはこの6月まで9ヶ月連続のプラス。特に今年に入ってからは前年同月を大きく上回る推移である。
2~4月は9%内外のプラス、5月6.5%増、6月は12.9%増と大きく上回る。建売分譲住宅もプラスの推移できており、戸建系の着工は好調だ。消費増税へ向けての動きに次いで、住宅取得支援制度も後押ししている面はあるだろう。
貸家とマンションの着工は大幅減続く
一方で、貸家とマンションの着工は大幅減少を続けている。低層アパート、中高層賃貸共に15%内外のマイナス、分譲マンションも12%減とくっきりと明暗が分かれている。
貸家が足を引っ張っていることで、全体着工も4~5月はマイナス圏で推移している。
大手ハウスメーカーの受注動向
大手ハウスメーカーの受注動向は、増税後の反動減らしき動きが4月以降に出てはいるが、分譲で何とか支えたり、また大手に関しては賃貸も劇的に悪くはない。
4~6月の第Ⅰ四半期のプレハブ住宅着工を見ると、持家、貸家、分譲、全てプラスで推移している。今程度の反動減は想定内であり、前回ほどの感じはないはずで、今後数ヶ月の動向は様子を見る必要はある。
増税後のインセンティブはたくさん用意されており、一次取得者に訴求しやすい状況にもある。ビルダー、ローコスト系の受注動向が比較的良い状況であるのは、老後2,000万円不足報道等、消費動向に何かしらの影響が出ている可能性もありそうだ。
タマホームの受注が4~5月にマイナスに振れたが、7月は前年比20%増に回復した。
消費増税後のリフォーム業界
またリフォームは9月末引き渡しの駆け込み期を経て、これからは次世代住宅ポイントの訴求へと切り替わる。新築は着工でも反動減影響が出始めると思うが、リフォームはまだ行ける。
前回増税時に比べて、波は小さく、今のところ激動の厳しさとまでは行っていない。ただ経済情勢が急速に悪化している。この先の市場大転換期に向けて足元を固めつつ、増税を乗り切って行きたい。(関)
■3度の消費増税前後の住宅着工戸数前年同月比推移
住宅業界月刊TACT消費増税