顧客信頼の差が分ける明暗


顧客の信頼が大事。裏返せばそれを失った時の反動は大きい。度々施工不良の問題は起こるが、賃貸住宅市場におけるここ最近の不正報道はマイナス影響が大きいだろう。不正融資でオーナーを騙す会社と銀行、不良施工ではオーナーも入居者も不安に陥れる。

 

レオパレス問題について

レオパレスの問題は既に20年も前の物件ではあるものの、その時の問題が発覚すれば一気に信頼を失ってしまう。防災力が高く、安心・安全の家を提供していくことが使命とも言える住宅会社の社会的責任は大きい。改めて確かな住宅を供給していくことが重要である。
 

レオパレスの影響

レオパレスの施工不良問題は、全国約1,300棟、約7,700人が早期の引っ越しを迫られ、改修が必要な物件はさらに膨らむ見込みだ。アパートオーナーが抱えるローンは推計総額2兆円超で、将来の焦げ付き懸念、地方銀行への影響、証券化商品等へも波及して、より賃貸融資へのハードルが高くなるという影響も指摘される。
 

レオパレスの今後

法人契約が多いレオパレスだが、法令順守の観点から利用を避けるという動きも出ているようで、社宅の利用を大東建託、大和ハウス等の他社に乗り換えるという問い合わせも増えているという。レオパレスの信頼回復に向けた道のりは長く厳しいものになりそうだ。
 

建ててはいけないところ

確かに賃貸住宅は一気に盛り上がって過剰に建てられた部分はあり、今地方では苦戦する。賃貸の基本というのは、積水ハウスが言うように、建ててはいけないところに建ててはいけないのである。エリアマーケティングが極めて重要だということには間違いない。積水ハウスではエリアを厳密に選別しているが、今は都市部駅近のSランクを設けてそのエリアでは積極的に施工を請け負う。
 

積水ハウスの決算

信頼ということでは、いい物件であれば高い入居率は維持できる。先日発表になった積水ハウスの決算では、賃貸の請負売上こそ苦戦であるが、ここ数ヶ月の受注は回復基調。また不動産フィービジネスの売上高は変わらず堅調で、6.8%から7.7%へ利益率は大幅に向上した。今期は8.3%へと更に上昇計画である。
これは好立地、高品質が故の高い入居率、高い家賃という好循環の裏付けでもある。想定以上に高い家賃が取れているケースもあり、2018年度の入居率は96.7%→97.8%に上昇。物件の信頼が企業信頼にもつながり、信頼を得た会社が強い会社になって行く。(関)
 
■積水ハウスの不動産フィービジネスは利益率、入居率共に上昇
積水ハウスの不動産フィービジネスは利益率、入居率共に上昇
 
もっと月刊TACTの記事を読む  
 

by .