6月15日、ついに民泊新法が施行された。良い点、悪い点、共にいろいろと言われているが、世界的にはスタンダードな宿泊の手段である。これから日本でも民泊が法的に解禁となり、鎖国は解かれたと言えよう。
民泊市場は確実に存在感を増しているものの、そもそも儲からないとか、自治体の条例の規制が厳しい、またマンション管理組合がNGを出している等、撤退物件も増えているといい、規制やリスク等を考えると参入障壁は意外と高いのかもしれない。
民泊のメリットは価格的にお得だということもあるが、地域の日常生活をそのまま体験できるということが大きいだろう。キッチンもあって食器類が用意されている。何処かで外食しなくても、地元のスーパーや商店街で食材を買い込んで、自炊して食べるという楽しみ方も出来る。オーナー(ホスト)であったり、地元の住民とのコミュニケーションが取れるのも魅力だ。
民泊参入業者はいくつか出揃った。エアビーを始めとした海外の大手民泊仲介業者、リクルート等の賃貸住宅の仲介サイトを持っている業者、百戦錬磨等の専業業者、レオパレス等の自ら賃貸住宅事業を手掛けている業者、旅行業者、コンビニ等の小売り業者等、民泊を巡って企業間でのコラボレーションが進む。コンビニは民泊のチェックイン機能としての事業コラボである。その他IoTという点でも民泊はその機能が役立つ物件になるだろう。
民泊事業が出来るかどうかは、地域によって向き不向きは当然あるが、地域を盛り上げるという意味では良いのかもしれない。ビジネスモデルとしては、以下のようなことは住宅会社にも出来る。
第一は賃貸マンション1棟をまるごと民泊施設にコンバージョンするか、新築で民泊賃貸を手掛け、運営は外部に委託する。1戸ずつ手掛けるのは、近隣対策等でトラブルとなる可能性もありそうだ。
第二に、観光地周辺にある古い民家や空き家を民泊施設として活用する。これが可能であれば、空き家対策、地域活性化策として有効だ。買い取って運営、またはオーナーへのリフォーム提案でも良い。
第三は、街ぐるみで空き家を活用して民泊街区にする。一つの事例は大阪市のSEKAI HOTELだ。空き家が多かった街を民泊施設や飲食店にしたりして、宿泊者が使いやすい街区を整えた。
成功可能性は未知数だが、新しいビジネスチャンスであることには違いない。手詰まり感を打開する新規事業に化ける可能性は十分秘めている。(関)
もっと『月刊TACT』の記事を
読みたい方は こちら