着工の底はまだ見えず
2024年計の住宅着工が80万戸を割り、70万戸時代に突入したのは確かだが、4月の法改正までの持家の月次着工は前年を上回ると見ていた。衝撃だったのは、1月の持家着工が前年比8.6%減の13,525戸まで落ち込んだことである。
ここ数年、1月の住宅着工は想定外の減少が続いており、2020年に1.8万戸台、23年に1.6万戸台、24年には1.4万戸台まで落ち込み、今年はそこから1,300戸の減少である。コロナ禍前・10%増税前の2019年1月の着工からは35.4%も減少した。わずか6年の間の縮小スピードに驚かされる。足元では持家着工は反転の兆しが見えていただけに、13,000戸台は予想をはるかに超えた少なさである。昨年の10~12月の持家着工が跳ね上がったのは、前年が悪すぎたことの反動による単なるリバウンドであったのか、法改正前の駆け込み的な動きがあったのかは不明であり、着工の底はまだ見えていない。ただ1月の持家着工をエリア別で見ると、増加県と半減以上の激減県などがまちまちで、ややイレギュラーな動きが出ている。法改正へ向けて地域差や着工のズレが生じているかもしれない。
■1月の持家着工は連続大幅減少、6年で35%減
出生数は過去最少に
同時期に、厚労省から人口動態の発表があり、2024年の出生数が72.0万人に減少した。出生数は比較可能な1899年以降で最少。70万人割れの予想もあったが、何とかそこは超えた。ただ10年前の2014年には100.3万人であり、そこから3割弱の28.2万人が減った。自然減の人口減少も89.7万人と過去最多である。出生数は将来の人口減少に直結してくる。本来であれば2039年頃の出生数予測の数字が、15年ペースを速めており、持家着工同様に減少ペースが想定を上回る。出生数の減少の背景として、婚姻数の減少があり、現在の住宅購入層の減少にもつながっている。
近頃は住宅着工の減少を示唆するようなデータが非常に目立っている。加えて混乱を生みそうな法改正があり、住宅着工増減の波が激しい。消費増税時の駆け込み、反動減とはまた異なる動きを見せそうである。4号特例縮小の影響は、駆け込みの程度は不明ながら4月の着工を大きく下押しすることが予測され、その後しばらくは落ち着かない状態が続くと見られる。3月までに確認済証が出ていれば3月中に着工を進め、4月からの着工になるならば、確認申請も4月に。準備は整っているか。
■出生数も10年前から3割減、72万人