堅調維持のリフォーム市場、勢力図に変化も
2024年のリフォーム市場は、新築市場に比べれば随分と堅調に推移できた1年だった。日経平均株価が2月に史上最高値を更新し、その後も乱高下があったものの、高値圏で推移。株高資産効果によるリフォーム需要の後押しはあったと思われる。
元日には能登半島地震が襲い、また南海トラフ地震への警戒から耐震リフォームの意識が高まった年でもあった。エネルギー価格の高騰から断熱リフォームの需要も続いた。前年からの反動減もあって先進的窓リノベの補助金活用は鈍化し、予算消化未達となったものの、3省連携の大型補助金の窓リノベはストック断熱化に大きな効果はあったはずである。以上のような後押し効果により、リフォーム市場は堅調に推移。21年以降、大手ハウスメーカーのリフォーム受注は約4年に亘り堅調さを維持している。その要因の一つとして、インフレという背景はあるが、各社のリフォーム平均単価は上昇基調を続け、利益率も高水準を維持している。
リフォーム業界の動きとして、M&Aも活発化して業界勢力図に変化が起こる兆しも見えた。大和ハウスリフォームがナサホームを子会社化、ホームセンターのアークホームがフレッシュハウス、愛知のビルダー、サーラ住宅が安江工務店を子会社化し、2024年は専業系リフォーム会社が、何処かのグループ傘下に入るという動きが顕著だった。
新築高値で中古に脚光、ストックの時代へ
住宅・土地統計調査による空き家900万戸という数字の発表もストック市場にはインパクトがあった。増加の一途を辿る空き家であるが、この解決のハードルは高い。今後も人口減少、そして相続が増えていく中で、間違いなく空き家の数自体は増え続けていく。京都市では空き家税を検討する等、空き家の有効な対応法を模索する。
中古住宅の流通自体は活発化している。新築着工が前年比で落ち込み続ける中、中古の成約件数はプラス圏で推移できた月が多く、新築高値の背景もあり、戸建もマンションも中古が脚光を浴びたと言える。大手ハウスメーカー10社が注力するスムストックの成約件数は初めて年間2,000棟を突破(24年6月期)。中古買取再販による流通も増えて来ており、中古戸建が住宅購入の有力な選択肢になり始めている。リノベ大手、リノベるでも買取再販物件を強化する。
非住宅関連のストック活用も進んだ。大和ハウスはBIZ Livnessという非住宅リノベの新業態を本格始動。工場、倉庫等のストック有効活用で1件当りの単価も大きく、今後注目される新ビジネスと言えよう。本格的なリフォーム・ストックの時代が訪れている。新築市場が苦しい中、リフォームには明るさも見える。今年も追い風をうまく捉えて事業拡大へ邁進したい。
■2024年のリフォーム・ストック業界10大ニュース