3 月9日、パナソニックが創業100 周年を迎えた。電機メーカーの中でも日立、ソニーと並ぶ、世界に誇る日本の大企業であるが、住宅部門であるES社も1.5 兆円規模のボリュームがあり、「住宅」もパナソニックの顔の一つだ。昨年、10 月からはパ
ナホームを完全子会社化し、4 月からはパナソニックホームズと社名変更して新規スタートする。住宅のパナソニックという色はより濃くなっている。
1918 年の電球プラグを祖業とし、住宅設備としては、照明器具はもちろん、1951 年にインターホン、65 年に太陽ヒーター、77 年に太陽熱セントラル給湯システムを発売。2009 年には世界初のエネファームを発売した。
100 年という歴史の中で数々の製品を生み出し、複数の企業を傘下に入れ、また一時期は投資に失敗し、大赤字を2 期連続で出したこともあった。そういう歴史を経て今、100 年を迎えた。家電、住設、車載電池、産業用モーター、次世代コックピット等、多岐に亘る製品を手掛ける社員は国内外で27 万人、売上高は約8 兆円という大企業である。そして将来へ向けて1 兆円を投資し、ますます事業規模を拡大させていく。
企業というのは、長い歴史の中でいろいろと形を変えていく。住宅業界でも大手ハウスメーカーが設立から50 年超のところが増えて来ており、事業バランスが戸建中心からその周辺分野へと、大きく変化している。それでも核となるのは戸建住宅事業だということを、最近の大和ハウスはよく触れている。戸建住宅あっての事業拡大、多角化ということで、戸建を強くすれば、他の事業も更に拡大するという。
例えば、流通店舗事業では住設関係のショールームを多く手掛けているが、これも住宅事業で集中購買を行っていることから来る情報。企業向けの土地情報等も元は戸建住宅部門からの情報に支えられているということだ。売上規模は全体の1 割強に留まるものの、戸建住宅事業の重要性を物語っている。
核となる事業を据えて、事業を多角化させていくということが、住宅業界激動のこれからには求められるだろう。そして会社の形は変わっても、変わらない経営理念があってこそ、100 年の長い間、企業を存続させてきたのだということを、パナソニックの歴史に学ぶことも出来る。100 年住宅、200 年住宅と言われる時代、100 年企業が存続していくことは、住宅会社の使命とも言える。(関)
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