インフレ耐性強いリフォーム
リフォーム市場は新築市場に比べて、成長拡大が見通せる市場である。コロナ禍からインフレ期に移って来た今の日本において、新築住宅市場は非常に厳しい環境下にある。縮小している需要を先食いした後、あらゆる物価上昇が起こり、金利まで上がり始めた。この向かい風の中で需要喚起するハードルは高い。
もちろんリフォーム市場にもインフレ影響はあるはずだが、新築に比べれば小さい。現金客が多いことから、ローン金利の上昇も同様に新築よりもマイナス影響は受けにくい。
国交省の調査(下図)からも分かるように、23年度も後半に入るとリフォーム市場の成長率は鈍化した。ただリフォームは、コロナ禍にもインフレにも打ち勝って成長できた分野とも言える。
コロナ禍以降、在宅時間が増えたことで、暮らしの質を上げるにはリフォームが有効であるという認識が定着した。
2つの追い風が相乗効果生むか?
23年度の第一の追い風は、3省連携の省エネリフォーム補助金である。生産体制が逼迫して納期遅延等があったものの、窓断熱のニーズはかなり潜在しているということが分かった。
省エネ効果によって快適性と経済性が高まるため、今年も増額された補助金の後押しは大きいものがあるはずだ。昨年以上に強く吹く可能性もある。
もう一つの追い風は株価の上昇である。コロナ禍で急落した後、日経平均株価はじわじわと上がっていたが、23年の上がり方は大きかった。24年1月~3月に掛けては更に急ピッチで上昇したことで、株保有が多いと見られるシニア層のリフォーム意欲はより一層喚起されたことが予想される。
2つの追い風による相乗効果も生まれるかもしれない。補助金が手厚く、株も上がって資産効果が高まっている今、「リフォームを検討するには非常に良いタイミング」ということになるだろう。
一方、逆風となりかねないのは、引き続きの物価高と金利上昇による意欲減退。加えて2024年問題による人手不足という内部的な課題である。今年の成長持続のカギは、追い風を如何にうまく受け、逆風をかわして流れに乗って行けるか。成長拡大の余地はまだ十分に残されている。(関)
■ 住宅リフォーム受注額・前年比【半期推移】
■ 住宅リフォーム受注額・前年比【四半期推移】