ついに来る金利上昇時代でどうなる?


 

長期金利は上昇トレンドへ

10月末、日銀の金融政策の再修正が発表された。
市場の予想通りとも言われているが、長期金利は更に上昇の方向に動く。
7月に長期金利の上限は0.5%程度を「めど」にし、10年物国債の指値オペの利回りを0.5%程度から1.0%への引き上げを決定してから、わずか3ヶ月後の再修正である。

今回の修正は、長期金利の上限のめどを1%とし、指値オペ利回り1.0%というフタを撤廃することで、長期金利1%超えを容認するということ。
修正に動いた植田総裁が「想定外」としたのは、物価見通しの上振れと米国金利の大幅な上昇であるという。
想定外の変化により、軌道修正せざるを得なかった。 

米国金利の上昇影響が円安を助長し、日本国内でも物価が上昇、長期金利も7月の0.4%台から、足元では1.0%に近付いている。
1%を大幅に上回るとは見ていないということだが、マーケットは長期金利上昇へと進んでいることは間違いない。

■日銀の金融政策決定会合の決定内容変化
日銀の金融政策決定会合の決定内容変化
 

住宅ローンの固定金利も上昇続く

金融や経済は様々な要素が絡んで動くため、予測不可能である。
今回の決定内容でもマイナス金利は維持されるため、住宅ローンの変動金利にはまだ上昇圧力は掛からないが、固定金利の上昇は避けられない。
3大銀行は11月の10年固定の基準金利を揃って上げており、3行単純平均では3.80%と2011年以来、12年ぶりの高水準となった。
最優遇金利でも1.29%であり、変動金利との差は更に拡大した。
この11月のローン金利には、今回のYCCの再修正は反映されていないため、固定型ローンの金利は12月以降に更に上昇するはずだ。 

■3メガ銀行の住宅ローン金利推移
3メガ銀行の住宅ローン金利推移

固定金利はじわじわと上昇が続いており、今更驚くことではないかもしれないが、ローン融資申請者の3割程度は固定金利ローンを利用するというのだから、住宅購入のハードルがどんどん上がっていることには違いない。
そして経済変動があまりに激しい今の世の中において、変動金利を選べば大丈夫だと言えるだろうか。
日銀総裁の言う「想定外」がこれからも起こる可
能性は高く、マイナス金利解除も将来的には実行されるだろう。
変動金利にも影響は及ぶ。 

物価見通しも修正された。
2023年、2024年の物価見通しは共に2.8%上昇である。
24年は7月時見通しの1.9%から0.9ポイント上昇である。3%近い物価上昇がまだ続く中での金利上昇。
住宅市場への向かい風が更に強く吹き始めている。 (関)
 

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