モノの差別化とヒトの差別化

少し前の話ですが、4月中旬に、愛知県半田市に本社を置く、国内最大手の粘土瓦メーカー「鶴弥」が、新たな事業として住宅用建材である壁材(陶板壁材)の製造販売を開始することを発表しました。
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具体的な製品特徴としては
(1)耐久性:原料粘土を高温で焼き締めることによる高耐久性
(2)意匠性:焼き物特有の落ち着いた風合いと高級感のある質感
(3)施工性:中空形状による軽量化、大判化・金具留め工法による窯業系サイディング同等の施工性
とのことで、今年10月から順次発売を予定とされています。

陶板外壁と言われると、真っ先に積水ハウスシャーウッドで採用されている「ベルバーン」を思い浮かべてしまいますが、ベルバーンは積水ハウス独自のもので、競合他社との差別化として訴求されているものです。

技術的な部分を含め、この両商品がどう違うのかは今のところ良く分かりませんが、この発表で感じたのは、モノの差別化はイタチゴッコだなぁということです。

一方で、先日あるハウスメーカーで、ユーザー向けセミナーを行いました。ちょっと驚いたのですが、来場されたお客様に対して、その場に担当営業がいる場合は飲み物の提供がされましたが、担当営業がいないお客様には誰も声を掛けることなく、最後まで飲み物が提供されないといった場面に遭遇してしまいました。お客様がどう感じられたかは聞くことは出来ませんでしたが、明らかにその差には気付いた筈で、モノの善し悪し以前に、気を悪くされた方もいらっしゃったかもしれません。

たまたま一つの会社のイベントで差が出てしまった訳ですが、モノの差以前のサービスの差やヒトの対応の差は、多分営業マンが思う以上にお客様は感じる可能性は高いと思われます。モノの差別化で一喜一憂するのも大事ですが、ヒトの差別化も常に意識をしなければ足元をすくわれると、改めて感じさせられました。(清水)

この記事の著者

清水 直人

住友林業(株)での8年間の営業現場経験の後、2001年3月に住宅産業研究所へ入社。現場営業マンや各地のメーカー・ビルダーへの直接取材を行い、時代にあった住宅販売戦術を分析。それらの分析情報をもとに研修・講演業務を実施している。
一方で月刊TACTなどへの執筆活動も実施。最近はアパート市場の販売分析にも注力し、専業会社他でも研修を行っている。

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