一日のうち多くの時間を過ごす住まいは、そこに住む家族の健康状態と病理に大きな関連性を持つと言われます。特に国内では、90年代から建材に含まれる化学物質によって引き起こされるシックハウス症候群が大きな問題となりましたが、住宅リフォーム・紛争処理支援センターによれば、近年のシックハウス症候群に関する相談件数は2000年頃から比べると4分の1まで減少。相談全体に占める割合も10%から1%未満まで減ってきていると言います。シックハウスが完全に無くなったわけではないにせよ、住宅を建てることで発生する住まい内部の健康リスクは、徐々にクリアしつつあるというのが現状ではないかと思います。
そして次の段階となるのが、外部から受ける健康リスクの軽減です。花粉やPM2.5など大気中に含まれる有害物質の遮断や、外気温に影響されにくい高気密高断熱の家づくり等がありますが、その中でも増えているのが全館空調の提案です。下図の三井ホームの広告では、
- ①温度のリスク…低温は万病のもと
- ②湿度のリスク…適切な湿度に保たないとダニやカビが発生
- ③空気のリスク…空気の汚れがアレルギーの原因に
以上のように全館空調を採用することで様々なリスクを避けることができるとアピールしています。
このところ大和ハウスやパナホームが、クリーンルームにも用いられるHEPAフィルターを空調・換気システムに採用するなど、より室内の空気の質には注目が集まりつつあります。「健康を守る」から、「より健康に暮らす」住宅へ。今後も空気環境に対する注目度は高くなりそうです。(平野)
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