非常事態も安定した供給体制を目指す


コロナ禍がまだ始まったばかりの1 年前、トイレを始めとした部材調達で苦労した。部品の一部を中国で生産していたため、製品の生産自体が滞って、国内の供給が逼迫した。
2ヶ月程で平常に戻ったが、今後も何らかの変化で同様のことは起こりうる。 
 

需要急増への備え

第一には、需要の急増である。異変により需要が突然増えることは度々あることで、昨年はマスク、消毒用アルコール、鬼滅の刃のコミック等が、一時期店頭から消滅した。
また市場予測に反しての需給バランスの崩れということもある。

住宅業界では今、分譲系の契約動向が堅調で、仕入れを販売が上回り、多くの分譲大手は棚卸資産が減少している。既存ストックに関しては、物件取得が厳しくなっている模様である。

また産業界で今逼迫しているという半導体も、テレワーク需要でノートパソコンの国内出荷が過去最高となり、また自動車業界でも予想以上の市況回復によって、生産に必要な半導体の製造が追いつかず、かなりの品薄状態に陥っている。 
 

部品不足への備え

第二には、供給側によるもので、製造に使う部品調達問題。昨年のトイレ等の住宅設備も部品の一部を中国生産に依存していたことが生産遅延につながった。
資材を運搬するコンテナ不足もそうで、物流停滞によってサプライチェーンが止まることで生が滞る。

キッカケとなるのは、今回のコロナ禍や自然災害、輸入資材に関しては米中摩擦等の外交問題、更には政情混乱のような突発的な現象による調達困難に陥ることもあるだろう。 
 
■需給バランスの崩れに備えるサプライチェーン構築を目指す
●需給バランスの崩れに備えるサプライチェーン構築を目指す
 

生産シフトチェンジへの備え

第三は急激な生産シフトチェンジによる需要増
新製品に思いっきり舵を切るといったようなことだが、例えば今後世界中でEV 普及が加速すれば、バッテリーやモーターの供給が追い付かなくなったり、またその原料となる銅やリチウム、レアアース等の資源確保も課題になるとも予想されている。 
 

労働力不足への備え

第四は、人手不足問題。住宅建築には将来的にも大きく影響してくる施工労働力不足の問題がある。
足元では、外国人労働者が入国できないことでの人出不足もあるし、大工不足は喫緊の課題で、施工キャパが足りずに着工遅延等も度々繰り返される。 

急激な変化が起こった時には、とかく需給バランスが崩れやすいが、ある程度の非常時リスクを想定して事業を行うことは欠かせない。
在庫を持ち過ぎることはリスクにもなるが、在庫がないと商売にならないという点では、一定の在庫を保有することは逆にリスクヘッジとも言える。

結局のところ、これら資材不足や調達困難はコストアップの要因にもなってくるわけで、非常事態にも対応できるサプライチェーンの構築は整えておかなければならない。
安定した供給体制は信頼につながる。 (関)

 

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