国土交通省が9月20日発表した2016年7月1日時点の基準地価は、全国商業地の地価下落が止まり、前年比0.005%のプラスとわずかながらですが、9年ぶりに上昇しました。ずっと下がり続けていたものが、下げ止まったと言って良いかと思います。
要因としては、訪日外国人が増え続けていることで、店舗やホテル用の地価が上がったということがあるようですが、マイナス金利の影響により、投資マネーが地方の中核都市に流れ込んだこともあるようです。
特に地価の上昇幅が大きかったのが、札幌、仙台、広島、福岡4都市です。商業地上昇率は6.7%と、三大都市圏の2.9%を大きく上回る結果となりました。今年のプロ野球クライマックスシリーズが今行われていますが、日ハム、広島、ソフトバンクと、都市が活気づいているのと、リンクしてきます。
一方、全国の住宅地ではまだ下落は続いています。下落率は小さくなってはいますが、地方のローカルエリアの下落は続き、三大都市圏や地方中核都市が上昇基調で推移しているということで、二極化が進んでいることには違いありません。
話しは変わりますが、最近ハウスメーカーの進出が進んでいるオーストラリアは、住宅地価格の上昇が著しいようです。直近の上昇率は全豪で前年比8.7%、最大都市のシドニーでは13.9%も上がっていると言います。少しバブルの懸念も感じさせますが、人口の流入が多く、これからも住宅地はますます必要になって来るということなのでしょう。シドニーなどは、まだまだこれから2030年以降には人口が5~6割も増える見込みだといいますから、やはり人口増加は住宅市場にとって極めて重要な指標だと言えます。
日本の地価はそう考えると、やはり下落基調となるのでしょう。不動産というビジネスはなかなか難しいもののですが、先が読めないから、またそれがビジネスとなっています。昨日ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディラン風に言えば、その答えは風に吹かれているってことでしょう。(関)
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