日経平均株価は29年ぶりの高値を更新
激戦州を制したバイデン氏が、米国の次期大統領に当選確実と報じられた。一応大きな混乱なく勝者が決まりつつあるということで、既に織り込み済みとも見られた株価は、上昇基調を強めている。
コロナワクチン開発の効果も伝えられたことで、ダウ平均も3万ドルに迫り、日経平均株価は29年ぶりの高値を更新して25,000円を挟む展開で推移する。多少なりとも消費意欲を高める効果のある株高は、住宅業界としては歓迎である。
株価は市場の動向を映すため、何かをキッカケに潮目が激しく変わるが、コロナ禍においては巣籠消費、DX関連株が圧倒的に値を上げた。
そして短期的な動きではあるが、日経平均が25,000 円にタッチしたこの日、ワクチンにより経済が正常化し始めると見たのか、少し潮目が変わった。
株価を大きく下げたのはメルカリやZHD、エムスリー等、コロナ禍で上昇してきたDX関連株、ウエルシアHD等のドラッグストア、巣籠の代表格である任天堂、ニトリ、ヤマト、SGH等の宅配業者等である。
反対に値を上げたのは業績不振でかなり売られてきた株で、JAL やANA は1 日で20%程の上昇、
不動産賃貸の三井不動産、駐車場のパーク24 等、揺り戻しの動きがあった。
もちろんこれは一時的な反動のようなものであろうが、案外潮目の変わり目が訪れているのかもしれない。コロナで落ち込んだ後に、反発で出てくるニーズ、ステイホームによって湧きあがるニーズもある。
戸建分譲住宅は5月から急に潮目が変わり、コロナを追い風にしてきた分野だ。10月までの半年の間、住宅業界の中でも絶好調を維持している。
持家着工は60年前水準まで低下
今、住宅業界ではかなり消費者の動きは活発である。一方で住宅着工、特に持家に関しては60年前の水準まで低下している。20年度上期は11.3%減の41.4万戸、持家は14.2%減の13.1万戸である増税とコロナの影響はあるわけだが、人口減を背景に住宅市場の縮小は確実に進んでいる。
株価も実体経済を伴わない上昇とも見られ、コロナ特需の中でハイテク等のグロース株が牽引しているところが大きい。2 年前の2018 年10月が景気、株価の1つの山であり、その水準を超えて景気が回復しているようには見えない。
第3波襲来の兆候もあり、次のコロナによる影響は住宅業界の潮目を変えるかもしれない。実体市場規模からすると、販売好調の住宅市場でも需要の先食いが起こっている可能性がある。
外的要因で激しく揺さぶられる住宅着工の増減の波をうまく乗り切らなければならない。 (関)
■日経平均株価と持家の月次着工戸数推移
JSKコラム(2020年)住宅業界新型コロナ月刊TACT