台風による甚大な被害
今年の秋は台風による甚大な被害、首里城火災等、水害と風害、火災という様々な衝撃的な出来事に心を痛めた秋だった。
一方で自国開催のラグビーワールドカップでの感動やインバウンド経済効果等、プラスの風も吹いた。そしてラグビー熱で日本中が盛り上がっていた最中、もう一つのうれしいニュースが駆け巡った。リチウムイオン電池を開発した旭化成の吉野名誉フェローが、ノーベル化学賞を受賞した。
電気の自給自足
リチウムイオン電池、まさにこれからの時代に必要とされるもので、吉野名誉フェローも自身の功績として、スマホやEV等に搭載するモバイルバッテリー社会を実現させたこと、またこれからは環境貢献という意味でも蓄電池の重要性が増すことへの期待なのではと語っていた。
今年襲った台風15号の千葉での甚大な被害では、電気の大切さを痛感したし、電気の自給自足ということを改めて考えさせられた。
蓄電池とは
蓄電池はまだコスト的に高いものだが、普及期を迎えて価格は大きく下がっていくだろう。例えば京セラでも安全性が高く、製造コストを3割抑えた住宅用の次世代型リチウムイオン電池を開発し、来年秋には本格量産を始め、年間2万台の生産を目指すという。
寿命も1.5倍程度伸ばせるようだ。価格ではテスラ等が優位にあるが、今回のノーベル賞受賞もキッカケにして、国内製品の普及促進に向かって行ってもらいたい。
蓄電池の時代がやってくる
今年は、2019年問題と呼ばれ、11月からは太陽光発電固定買取制度が終了する家庭が大量に出始める。
今年だけで53万件、来年以降も毎年増加する卒FIT家庭からの余剰電力の使い道をどうするかは、エネルギー各社からハウスメーカーまで、大きな取り組み課題となっている。間違いなく蓄電池の時代がやってくるはずである。
災害に備える住宅
太陽光発電と蓄電池は、災害大国日本においては、必須アイテムにしても良い。ハウスメーカーの卒FITオーナーに対しての蓄電池販売は極めて順調に伸びており、オーナーが蓄電池を導入する理由としてはレジリエンスがある。大型の蓄電池を導入するケースも多く、防災から減災、縮災というところまで備えることが必要になっている。
被災した時にも電源として利用できる対策、また蓄電池にEVも加えたトライブリッド蓄電システム、非常用電源のエネファーム、更にはIoTによる災害事前措置等、災害に備える住宅を、より真剣に考えることが必要になっている。(関)
■レジリエンスとしての蓄電池の時代が到来
※積水化学工業リリース資料より
住宅業界月刊TACT