企業経営にもいろんな波があって、一旦ほころびが出ると次々に出て来るということが度々ある。
ガバナンスの重要性
今年の上半期で、逆風にさらされた企業には、レオパレス、大和ハウス、LIXILがあるが、組織的な過ちを犯したと見られるレオパレスに対して、大和ハウスはコミュニケーション不足により、情報が上に上がって行きにくい体制だったと言われている。
チェック漏れや誤認というのは、誰にでも起こりうることだ。もちろんミスはないことが望ましいが、何か起きてしまったらすぐにそれを正すことはどんな状況でも重要なことである。
企業でも最初の間違いの段階で修正を掛けられる、ガバナンスをしっかりと効かせるということが、今特に企業の信頼において求められる重要な視点である。
ガバナンスの回復
ESGでいうところの「G」。経営の透明性や情報開示、資本効率化に取り組んでいるか、ということだ。LIXILは経営層の人事面でガバナンスが問題視された。
社長解任劇から始まった経営陣の争い、俗にいう御家騒動が世間に注目されたが、一般社員にとっては非常にやっかいな話であり、士気が低下した状態が続いたであろう。
株主総会においては、会社側の取締役候補と、社長を解任された瀬戸氏を中心とする株主提案とで争われたが、候補者1人1人の選任に個別に賛否を問う異例の議案解決方法が取られ、結果も異例の株主側の勝ちとなった。
この結果を受け、一応の混乱が終息すると一まず安心したためか、低迷していた株価は翌日急騰した。
確かに経営陣がまとまらない、CEOが誰になるか分からないという状態で、経営目標等を立てても、信頼できるものにはならず、再任となる瀬戸社長体制でガバナンスの信頼を回復し、業績を再び軌道に乗せていくことが期待される。
ガバナンスの情報開示
ガバナンスには情報開示という点も求められている。最近経営情報の把握という点で気になるのは、企業統合や完全子会社化が起こるたびに、上場していた会社が上場廃止となり、今まで開示されていた決算情報が開示されなくなることである。
投資家からみれば確かに子会社の詳細な情報までは必要ないのかもしれない。ただ例えば旭化成ホームズは、上場企業の1連結子会社であるが、細かい決算書ではないものの、決算情報は要点を押さえて分かりやすく出している。
非上場会社でもある程度の情報の開示は願いたい。健全な経営には、透明性や情報開示が求められる。(関)
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