新年度がスタートし、間もなく「令和」という新しい時代が始まる。そしてこの4月から大きな法案が2つ施行された。働き方改革法案と、改正入管法である。どちらも如何に効率良く働いてもらうかという生産性を見据えた法案であり、住宅業界にも大きな影響が出て来ることになる。
労働時間の適正化
人手不足の解消、長時間労働の是正、働き方改革で言われていることは、業務の効率化なくして実現できない。今のまま残業を減らし、有休を取得してもらえば、人海戦術で動く業界はその分売上減に直結するわけで、抜本的な改革が待ったなしといった状況だ。働き方改革という名の生産性革命が着実に進んでおり、人手不足の業界においてはこの労働時間の適正化をやらないと、他社に人材が流れていくということにもつながっていく。
改正出入国管理法
同時に施行されるのが、改正出入国管理法。この新制度の柱は在留資格「特定技能」の創設で、建設や製造分野など14の特定産業分野で外国人労働者の受け入れが拡大される。今でも建設現場で外国人が働いているケースは多いが、今後特定技能の在留資格が付与され、より活躍してもらいやすくなるだろう。人手不足を補う戦力にはなるだろうが、根っこの部分で改善すべきは労働生産性の向上で、IT、AI、様々な工夫を凝らしながら、効率化アップは欠かせない。
大和ハウスのBIM導入
効率化事例の一つ、大手メーカーでも例えば大和ハウスのBIM導入はインパクトがある。BIMとは、「ビルディング・インフォメーション・モデリング」の略で、コンピューター上の3次元の建物のデジタルモデルに、コストや仕上げ、管理情報などの属性データを追加した建築物のデータベースを基にしたワークフローのこと。ここでの詳細は割愛するが、大和ハウスは顧客満足度の向上と働き方改革を同時に目指すということで、積極採用を進めている。顧客に対しては見える化、高品質化が促進され、維持管理サービスにも活用できる。
2020年度には100%移行
効率化としては、ロボット・AI活用の他、設計効率を上げて労働時間短縮、クラウド活用で情報を一元化し、情報管理業務を減らすことも出来る。
取り組みは2018年からであるが、移行計画はスピーディーだ。まずは非住宅建築での小規模物件から導入しており、戸建も半年後からスタート、2020年度には100%移行を目指すという。令和時代の幕開けと共に、世の中の働き方が変わり、すごいスピードで効率化の波が押し寄せるという、そんな予兆を感じさせる取り組みである。(関)
■働き方改革と改正入管法
■大和ハウスのBIM 移行ロードマップ
もっと月刊TACTの記事を読む