平成が終わりに近づき、この30 年を振り返る機会が増えている。この平成の間に、人口はピークアウトし、住宅業界は大きく変化した。進化しているところも多いが、次の年代に先送る課題も増えた。
性能向上の問題
第一に性能向上の問題。性能値は格段に向上したというところもあるが、まだまだ断熱性能は不十分だと見る向きもある。地球環境を考えた時に、ZEH を始めとした住宅性能、省エネ、創エネというのは極めて重要で、今後も更なる向上が求められる。2020 年には省エネ住宅の義務化に向かっていたが、最近の国交省の意向では、義務化は先送りとなり、基本的に小規模住宅は対象外になる見込み。努力義務というところになりそうだ。
空き家と改修の問題
第二は、空き家と改修の問題。これからの住宅業界の大問題となって来るのが空き家問題であるが、これについては効果的な打つ手が見つかっていない。極力空き家を増やさないように既存住宅の流通や活用法を本気で考えて行かなくてはならない。そしてストックで最近気になるのは、マンションの大規模修繕問題である。これからタワーマンションの大規模修繕が多発してくる。それを担う工事業者の手はあるのか、また修繕積立金は十分かという問題が顕在化してくるだろう。
人手不足の問題
第三は人手不足の問題。おりしも改正入管法が可決し、外国人労働者の受け入れは強化される方向だ。法律的に不備なところがあるが、建設業は介護に次いで外国人労働の受け入れ先になるだろう。大工の手は年々減り続けており、このままだと求める着工を手掛けることが出来なくなる。施工の効率化等も含めてカバーして行かなければならない課題だ。
AIの時代が到来
第四は将来へ向けての新しい課題として、これから本格的にAI の時代が到来する。生産面、業務効率化という点では少しずつ新しいテクノロジーが浸透してきている。そして住宅や設備機器、家具や家電等、様々なモノがインターネットにつながるIoT 住宅が進化し、更にAI が考えて施主にとって有益で暮らしやすい家に変化していく等、住宅業界にとってプラスとなる部分もあるだろう。
最後に
このAI 進化の流れが業界の勢力図とどう絡み合うか。自動車業界は自動運転へ向けて、日本を中心に欧米、アジアを含む約20 の企業や団体が壮大な連携を組み、開発を進めてくという。平成の次の時代には住宅のハードとソフトがどう絡み合い、新しい住宅業界を構築していくのか。ここに挙げたような過去から引き継いできた課題はほんの一部だが、次の時代の住宅業界を考える年末である。 (関)
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